国境を越えた一羽の鶴が

 ぼくに異国の言葉をさえずる


 「昔々のお話です」


 きよい想いを鶴は語る

 遠い時劫じごうにぼくらは眠る


 「とある男がおりました」


 木々は実りの秋を迎える

 帰る家路を忘れてしまう


 「とある女に逢いました」


 名もなき果実を鶴はついば

 やがて少女に姿を変える


 「二人は恋に落ちました」


 ぼくらは無言で手を繋ぐ

 黄昏の中を手探り歩む


 「いつまでも幸せに暮らしました」


 ぼくらの家はどこだろう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る