夏のゆりかご

 夕暮れの萎んだ向日葵

 連れ出したのはあなた

 架空の空に一番星が

 帰るまでが遠足だと


 おざなりの日々を置いて

 夏はまだはじまったばかり

 箱の中の絵の具を全部

 このキャンバスに使い切るまで


 アークトゥルスの光を探す

 頬の火照りは残ったまま

 あなたの表情やしぐさが

 まぼろしのような夜のしじま


 ポケットには夢があった

 あるべき場所はひとつじゃなかった

 それでもあなたの側でよかった

 覚めない眠りであることを願った


 蚊帳かやの中のゆりかごゆらり

 まどろみの海ふたりでゆらり

 お伽の国から戻る朝まで

 ねんねんころり ねんころり

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