トキジクノコノミ

 帆は潮風をはら

 肌を焦がす光に惑う

 神話の主人公のように

 船よ、港へ進め


 命の滅んだ大海原おおうなばら

 鼻の曲がりそうな匂いだ

 それでも約束があるから

 くじけないでいられる


   永遠ニ生キルコトノデキル

   ヲ僕ハ手ニ入レタ


 ・・・・・・血みどろの波濤はとうを越えて

 あなたの港へ帰り着いた

 街中があなたの死を悼んで

 終りのない喪に服していた


   永遠ニ生キルコトノデキル

   木ノ実ヲ僕ハ手ニ入レタノニ


 干からびた土を耕し

 木の実の種を植え付けた

 遅すぎた約束が芽吹き

 やがて大樹となる日を祈った


 命の滅んだ大海原に

 果実を僕は投げ入れた

 あなたの愛したこの世界が

 せめて永遠であることを願った


   僕ハ機械ノ体ヲ捨テテ

   永遠ノ眠リニ就イタ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る