詩篇『VISAGE(顔)』

長門拓

あなたは雪になった

 優しい人

 あなたは今朝、雪になった


 私の窓のそば

 優しいあなたは雪になった


 傷を舐める獣のように

 その時、私は眠っていた


 行き倒れる旅人のように

 その時、私は気付いていた


 優しい人

 それでも私は窓をあけた


 空は遠くて

 世界は白かった


 私は窓のそばで

 一人であることを知った


 それでも雪は降りしきった

 たくさんの私たちの上に


 優しい人

 あなたは今朝、雪になった


 私の窓のそば

 優しいあなたは雪になった

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