灰色のイデア

 見渡す限りいちめんの

 灰色の世界で生まれた

 とりあえず思い出せるのは

 大好きな人の子守唄


 明け方の町に雪が降った

 子猫たちは震えながら

 身を寄せ合っていた

 まるで僕たちのように


 ――気がつくと子猫たちも

 君の影もかたちもなかった――

 どこからどこまでが夢なのか

 世界は何も教えてくれなかった


 ……気がつくと病院のベッドの上で

   泣きながら僕は目を覚ましていた

   枕元では疲れた顔の君が

   慌ててお医者さんを呼びに走った


   明け方の町にいちめんの

   白い雪が降りつづける

   微笑む君と語らいながら

   退院したら猫を飼おうと約束した

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