特定の時間から遠く離れて彼が見た夢

 火薬と硝煙の時間から

 なるべく離れたところで

 彼は複素数の夢を垣間見た

 

 文字は螺旋の棚に収められ

 無限の旋律を奏でていた

 確かに無限であるかのような


 魂はそこで友と一緒だった

 友は丘の向こうで手を招き

 どんな時も彼らは一緒だった


 (やがて心臓の鼓動が止まった

  それはほんとうにゆるやかに

  はじめからそうであったかのようだった)


 その丘を音楽と植物が彩っていた

 いくつもの約束を僕は束ねて

 この星の木陰にそっと安置した


 火薬と硝煙の時間から

 とりあえずなるべく離れたところで

 彼らが安らかであればいいと思った

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