からっぽの地球

 VIRUSビールスと世界が癒着した

 地球はからっぽになった

 閉ざされた窓の風景から

 いくつもの終わりが通りすぎた


 日は輝くのに花は咲くのに

 空の青さに吸い込まれるのに

 干からびた意味がひとつひとつ

 四月の光素エーテルの中で蒸発していく

 

   ここはからっぽの都市

   ここはからっぽの地球


 街路から詩人は追放された

 悪い夢のようにベルがこだました

 垂直の時間から鳩が飛ぶまで

 どれだけの渇きが待ち受けるだろう


   あなたはたまゆらの眠りを持たない

   私はありふれた痛みを知らない


 ……すると、終わらない謎のように

 耳を澄ます誰かを見つけるでしょう

 たとえ、指先と指先が触れ会えなくとも

 私はあなたを覚えているでしょう

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