概要
狼は赤ずきんを食べたいんじゃなくて、一緒に手を繋いで歩きたいのです——。
赤ずきんは、その手を狼に差し出すことができるでしょうか……?
篠田 航平、24歳。中堅家電メーカー星川電機の広報部に勤めて2年目だ。
今年度の春に異動してきた超絶美女な上司である小宮山係長に電撃的に一目惚れしたものの、結局振られてしまった俺。
失恋の痛みで凹む俺に、これまで頼もしい恋の助っ人だった五十嵐先輩は相変わらず優しい。
頭脳明晰、容姿端麗、メガネがやたらに色っぽい。クールなようでいて実は情に厚い、外も中身も超イケメンな先輩だ。
天然で果てしなく鈍い俺は、いつものように何となく彼の優しさに寄りかかってしまったのだが……。
——恋って、本当に「異性」としかしないもの?
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「同性との恋」という選択肢が加わったとき、彼の人生は大きな成長を遂げる
女性上司にフラれた会社員・篠田(男性)は、恋愛相談に乗ってくれた先輩・五十嵐(男性)に思いを告げられる。
女性だけが恋愛対象だったはずの篠田の世界が、この時から大きく角度を変えて急速に回り出す――
何といっても、篠田のうろたえっぷり・悩みっぷりが初々しくて面白いです。
と同時に、なかなか自分の素直な感情に気づけない・なかなかくっつかないもどかしさにじれじれさせられたり。
読者をドキドキハラハラに引き込む構成が、いつもながらお見事!
男性同士の恋愛の行方ももちろんですが。
この恋愛や周囲の人たちとの関わりを通して、まだまだ幼さが抜けなかった篠田が人間的に大きく成長していくのがみどころのひと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一番大切なことは、手を繋いだ先にあるもの
容姿端麗、頭脳明晰、誰もが憧れるようなイケメン王子様に想いを寄せられてしまった「普通の男の子」。ひとり悶々と悩んだり、周囲に励まされたりしながら彼は自分の本当の気持ちに気付いていきますが──。
自分が引けば相手にも引かれ、向き合おうとすると正面から頭をぶつけ合ってしまう。お互いの気持ちを思えば思うほどになぜか空回りしてしまう。そんなじれったい心模様がとても丁寧に、そしてコミカルに描かれています。
堂々巡りする純情赤ずきんの思考や、クールに見えるイケメン狼の内面の逡巡。
人の持つもどかしい心のうちを、掬い取るような言葉で見せてくれます。脇役たちが要所要所にポイントを押さえた活躍をしてくれる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛情を受けて愛情を返す。至極ピュアな恋愛のカタチ。
「むかしむかし、あるところに、それはそれは可愛い女の子、居りました」は、グリムやペローの童話の世界。
作者様の筆の魔術にかかれば、
「現代社会、あるところに、それはそれは可愛い男の子、居りました」に変わるのです。
篠田 航平くん、24歳。失恋の痛手を癒やす恋の始まりの温度は、決して高いものでは、ありませんでした。最初から沸点の高い恋愛が素晴らしいというわけではないのです。
乗り気では、なかった。そんな恋愛でも、想われる気持ちに、どれだけ応えていけるか。
性別を超えて、居心地の良い場所をじれったくも探して、歩み寄る恋愛の純粋さに、陽だまりのような、あたたかさをきっとおぼえる。
無垢な想い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ジェンダーを超越しようとする主人公たちの葛藤
女性上司に振られてしまった主人公男子が、超絶イケメン男性上司にロックオンされる物語。一言で言うとこのような感じですが、ジェンダーを超越しようとする主人公の葛藤が、とても丁寧に繊細に描かれています。
本人の気持ちを後押しするような、周りの登場人物たちも良い。
主人公の妹やランチ友達(?)の部長など、ここぞというところでいい働きを見せながら、次第に自分の気持ちに気づき、主人公とイケメン狼は近づいて行きますが、もちろん一筋縄ではいきません。
職場的な地位と名誉、世間の目、それから主人公たちを惑わせる魅力的な異性からのアプローチ。
果たして、二人の関係の行く末やいかに? ぜひ、皆さまの目でお確か…続きを読む - ★★★ Excellent!!!騎士が鎧を脱げるのは、誰でもない、あなたの横だけですぜ!
前作である『属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?』を拝読し、拙いながらも「ワンコから騎士への成長物語ですぜ!」などとレビューを書かせていただきました。スピンオフとなれば、騎士となった篠田航平くんがいよいよオトナの世界で大活躍! と思いきや、タイトルに 「えっ? ちょっと待って」となり、よくよく噛みしめ解釈してみれば「俺をイケメン狼が狙っている」……はあっ? これってもしやまさか、と拝読いたしました。ピンポン、でした。アオイさまの十八番、BLだったのです。BLは苦手なのですが、なんといっても作者はアオイさま。これは拝読する価値はある! と直感がひらめき、ラストシーンで拍手喝采する自身…続きを読む