31話:入学式の日(三章終点)
クラス発表から数日、いよいよ入学式になった。はいいものの、なんだか朝から体調が優れない……。
「逆音ちゃん、ごめん、だるいし、寒気する」
「大丈夫? 一応熱計るよ」
と言って逆音は白い体温計を、薬箱の中から取り出した。そしてそれを私の脇に挟ませた。
約三十秒後に『ビビっ』と音がした。七度八分だった。
「熱が高いね。今日は学校休みなよ」
「そうだね……」
私はベットに入り、このノートを逆音に託した。そして、早苗にこのノートを渡してほしいと頼んだ。
「じゃ、これを早苗に渡してくるね!」
……、はい、早苗です。中学校の入学式はとにかく規模が大きかったです。綾ちゃん以外にも来てない人はいました。
紅白の幕に覆われた体育館。司会の教頭先生は話し始めた。その後は寝てしまったが……。
自己紹介の時間、私はトップバッターを飾った。
みんなの前に立ち、緊張して立ちくらみになりそうにしながらも、なんとか口を開いた。
「はい、私の名前は湧石早苗、オタクをしています」
あんな紹介をしてひかなかった人は、私の知り合いしかいなかった。みんな、ざわざわし始めた。
担任の石山先生は止めようとしたが、生徒は聞かなかった。
この騒ぎを止めてくれたのは、先日友達になったミサキちゃんだった。
「じゃあ、私が次に言うな。だから黙ってくれないかな?」
「仕方ないなー」「医者の娘が言うからしゃーないなー」
そんな陰口が聞こえてくる。だけど、ミサキちゃんが威圧をかけてくれたおかげでことなきを得た。
その後も無事に済んだ。
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