8話:『雷霆:イサカイヲチンアツスルモノ』
信濃路はまだ電気を貯めている。やがて放出する時に、最大の威力を発揮するだろう青白い電気。少なくとも、佳奈にはしばらくは痺れが残ってしまうだろう……。
「いくら信濃ちゃんでも、私の人形術には敵わないっしょ。『剣豪人形』! これで「佳奈ちゃん、私の能力は知ってるよね? 『人』から物を奪う能力だよ、それで奪ったものの中で、最大の攻撃を喰らう覚悟は出来ているのかい? 『
信濃路は右手に溜めていた電気を、一気に放つ。佳奈は一生懸命人形で防ぐが、人形は黒く焦げてしまった。
佳奈自身も痛そうに左手を抑え、苦しみながら倒れている。
「ご、ごめん……、痛い?」
「大丈夫だから、ほっといて!」
「佳奈ちゃん、大丈夫か? ひとまず安全なところまで運ぶよ!」
「さ……、早苗ちゃん。ありがと……」
誰も信濃路の相手をしない。それほど佳奈を傷つけたんだ。あいつが孤独のあまり泣き出しそうになっても、もう遅い。
「た、頼むから佳奈ちゃん……、ゆる、して……、なんでもするから!」
「なんでもするって言ったよね? じゃあ、わたしの痛みをわかってくれる?」
「うん、佳奈ちゃんの痛みを私が奪うよ! 佳奈ちゃん、左手を貸してよ。頼むからさー!」
「まずここまで来てよ……」
信濃路は佳奈のいるところまで走り、そして佳奈の左手に触れた。そして閃光が走り、信濃路は一瞬倒れたが、すぐに立ち上がった。
「こんぐらいなんともないさ、むしろ魔力に還元したのさ!」
「信濃って恐ろしいやつだなー。あ、そうだ、橋武中学校の吹奏楽部のコンサート行かない?」
「行くよ〜、でも三時からでしょ、その前に昼ご飯食べなきゃなー」
「この辺に、うまいラーメンの店があるらしいですよー」
「早苗ちゃん、どこにあるん?」
「だいたいねー、『ユナイテッド・パーク』あたりにある『近藤屋』だよー。あそこの味噌ラーメン、マジでうまいんだ!」
向かわない理由がない、向かおう、ラーメン屋に。
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