34話:電車で向かうよどこまでも

 私たちは電車に揺られながら、電車で東丘に向かっている。

 気付けば緑が生いしげってる山岡田やまおかだ区画を過ぎていて、風光明媚ふうこうめいびな温泉街『御宮宿おみややど』の駅をちょうど発車していた。


「信濃ちゃん、あと何駅?」

「ん? 佳奈ちゃん、あと一駅だから安心して」

「ありがとー! でもなんか、前回から騒がしくなったね」


 信濃ちゃんは冗談と今の状況を交えて、綻びながら言った。


「同感……、まあ、これからが本番なんだけどな! いよいよ面白くなってきたーーーーー!」


 私が息を吐くみたいに言った際、感情が高まってきた、ノートに本音を吐き出すまでにね。


 精・神・崩・壊!

 王・政・復・古!

 一・転・攻・勢!


 それにしても、ここまで長かった。どれだけ道を迷ってきたんだ。

 改稿、ストーリーの一部変更、綾ちゃんの文体変更、そしてここでも改稿。特に佳奈ちゃんは凄かったなぁ。

 メタを入れている間に、電車は高架区画に突入していた。


「で、お前も行くの? なんか急に混ざっているんだけど」

「もちろん……、君たちがいいならばね」


 私は正直彼女を認めたくない。だけど本心と違うことを言わなければ、私の存在が否定される。


「悪いとは言わないよ。そもそもここがそういう方針なんだ」

「わかりやすい解説ありがとうございまーす」


 これが、ここの流儀だ。どんな人でも受け入れなければならない。たとえどんな事情があろうとも、ね。


「次は、東丘、東丘、終点です。お忘れ物にご注意ください。一番線到着、お出口は左側です。本日も浦東線をご利用いただき、ありがとうございました」


 さーて、住所は夜ちゃん本人から、ダイレクトメッセージで来てる。だからあとはそこへと向かうのみだ!

 電車が止まった、ドアが開いた。私たちは焦らずにドアから出る。

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Comet has passed【異常だが日常】[パスコメ] 縹船シジマニア @hyosen364364

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