妖怪郷を見るまでの話

夢の国の運命

1話:目覚め

 昨日、私たちは橋武はしたけ小学校を卒業しました!


 だから今日は、ここ橋武にある遊園地に行くことにしている。ので、赤きTシャツに着替える。

 そんで、リビングのソファに座りました。隣にはすでに着替えていた逆音さかねが座っていた。そして、朝のあいさつをする。


「ねえ逆音、おはよう!」

「綾ちゃん、いよいよ今日だね!」

「んじゃあ、行きますか」

「他の人は現地集合、でいいんだよね?」

「うん、それでいい」


 目覚ましの日差しを入れるために、カーテンを開ける。青い空、赤き屋根、緑の街路樹、黒き道路、いつも通りの景色である。


「朝ご飯は、外で食べるんだよね?」

「そうだよ。お金持った?」

「うん、じゃあ行こうか?」


 ドアを開けて、外に出た。そして、少し歩いた先にあるバス停に、徒歩で向かった。

 道中のパン屋、惣菜屋、八百屋、魚屋、それらにかかっている青、黄、赤の屋根。ここ過去の面影を残している。

 他の区画は、ニュータウンとして開発されてしまったからだ。ここら辺に住んでいた人も、ホームステイ先の木戸家も、みんな新しい家に住んでいる。


 当たり前だ、彗星が落ちてから、要再開発区画に指定されてしまったからだ。鳥取と島根から『浦山うらやま』と名付けられた地区が独立した。仕方ないよ、あの事件から地価が暴落したんだもん。


 そんなことを考えていると、逆音が話しかけてきた。まだ着いてない、古い商店街の、服屋の前だった。


「ねえ綾ちゃん、今度、橋武中学校吹奏楽部の演奏会行かない?」

「逆音、どうせなら入ってみない?」

「うん、入ろうよ! でも逆音ちゃん、なんで急にそんな話をしたの?」

「綾ちゃん知らないの〜? 今日、橋武中学校の演奏会が、遊園地であるらしいよ。行かない?」

「逆音ちゃん、知らなかった〜、けど、もちろん行くよ!」

「じゃあ、他の人にも伝えておくね! あと、バス停に着いたよ!」


 逆音は他の人にもラインで送る。一回は青春溢れる演奏会を見てみたい。

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