17話:信濃路の家と地獄

 目の前には、黄色く丸い屋根の家がある。あれが信濃路の家だ。ここの周りは、屋根が虹色に並ぶように設計されている。これはニュータウンでしか出来ないことなのだろう。

 今、信濃路の家の目の前には私と彩那がいる。


「彩那ちゃん、信濃路の家に着いたな」

「そうだね綾ちゃん、入ろうよ!」


 私が代表してインターホンを押す。


「はーい、綾ちゃんにー、彩那ちゃん。佳奈ちゃんならばもう来てるよ〜。でも、その前に風呂入ってー。こんな雨だからさー、風邪ひくでしょ」

「ありがとねー」


 そうして私と彩那は風呂に入った。身体が温まって、スッキリした。

 風呂から出て、タオルで全身を拭く。


 インターホンが鳴る。佳奈が来ていた。ということは、来ていないのはあの人だろう……。


「夕日ちゃーん、待ってたよー」

「信濃ちゃん、原付バイクの置き場はあそこであってる?」

「夕日ちゃん、あってけど、論点が違う。免許は持ってるの?」

「何驚いてんの信濃ちゃん、持ってるよ。橋武って色々法律ゆるいから、こんなこともできるわけ」

「そうだったなー」


 今来たのは浅葱あさぎ夕日。他の人に比べて髪が少し短い。性格などは普通の少女だが、ギターやバイクが趣味である。紫電しでんを操る能力を持っている。

 そんなこと紹介はほっといて、私は佳奈に話しかける。


「佳奈ちゃん、今日は何するの?」

「綾ちゃん、何も決まってないから人形の手入れをする。手伝ってくれない?」

「佳奈ちゃん、わかったけど、どの人形?」

「綾ちゃん、この人形でいいかな? これは元々本物の魔法使いだったんだ。けどねある時、謎の組織によって人形にされた。彼女が自力で動いていた時から友達だったから、今も使ってるわけ」


 さらっと口にした、人形の暗い過去。生きていた魔法使いを、こんな10センチの人形にする能力があることに衝撃を受けている。

 そんなことを考えつつ、私はこの人形の服を裁縫する。

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