29話:彩那に言い渡された結果とは……
信濃路と別れた後、そのまま真っ直ぐ行って緑が広がる公園の方へと向かっていった。
「彩那の家って、こっちであってるの? 私、あまり行かないからわかんないんだよね」
「綾ちゃん、合ってるよ。四日前に行ったから覚えているんだー。綺麗っしょ、この庭。彩那と姉で元吹奏楽部長の希さんが整えているんだー」
佳奈が紹介しながら指で示した先に、緑が広がっている庭があった。そこには彩那みたいだけど、彩那よりは少し背が高い(と言っても佳奈並だが)がいた。
「あの人、彩那にしては……、少し大きくない?」
「彩那だよ。あいつ、私くらいに成長しちゃったんだよ……。どうやら親に頭やら背中やら胸やらを殴られて、背が低くなったらしいし。原因なくなったらそうならない?」
「佳奈ちゃん、なんか言った? というか私の背が伸び始めたこと、誰も知らなかったの……。あと、蒼原どうだった。あいつのことが嫌で、仮病使っちゃったんだ」
「別に、仮病使ったって、私は良いと思ってるよ。それほど蒼原が憎いんでしょ。なら仕方ないじゃん」
佳奈は仮病を許した。というか私たちは許さないわけない。
私たちは彩那に招かれて、家の中に入った。
彩那は私たちを大きな望遠鏡があり、本棚には論文が詰まっていて、計算式で埋められた部屋へと案内した。どうやらここが彩那の部屋らしい。
「で、蒼原どうだった」
「見栄を張るあまり、自滅していた。だから少なくとも最初の方は大丈夫だと思うよ」
「有力な情報をありがとね、佳奈ちゃん。これなら安心して学校行ける!」
彩那は飛び跳ねて喜んだ。だけどまだ本当に話したいことじゃない。きっと、彼女が聞いたら何かが起こるだろう。
「あ、でもまだ大事なことを言ってないよね? 小田原彩那は二組、私も彩那も信濃路も逆音も同じクラスです!」
「really?」
「マジ」
「よっしゃーーー!」
彩那は思いっきり佳奈に抱きついた。その勢いで佳奈は倒れてしまった。勢いあまって本棚が倒れた時、『ガッダーン!』と大きな音がした。
「彩那ったら……。大げさだって……。軽く背中が痛いよ……」
「ごめん……。嬉しくてつい……」
彩那の喜んだ様子を見て、佳奈は笑った。その後みんなで本棚を整理していると、一人の女子高生が彩那の家に入っていった。
背は並で、ポニテで赤い糸を髪に結んでいるのが特徴である。
「あーあ、派手にやっちゃって。まあ、昔のお前に比べたらマシやなぁ」
その女子高生は、佳奈と彩那が抱き合って倒れてる様子を見て、そう呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます