6話:けっせん、ブラインドコースター!

 列が進み、やっと屋内に入れた。設定などない、本当に注意書きしかない、ただ黒くて暗いだけ。このいさぎよさも人気の理由なのかもしれない。


「なんか思ったより中身は怖くないね」

「ね、逆音ちゃん、これなら大丈夫そうでしょ!」

「信濃ちゃん、うん、このまま進もうよ。多分あと十五分くらいだし」



 無駄にウキウキしている。これからヤバいジェットコースターに乗るのに……。


 暗い道をそのまま前に進み、『ブラインドコースター』へとたどり着いた。


「座って、シートベルトを締めてください。その後に勝手に目隠しがおりまーす」


 女性の案内人の声が聞こえる。その通りに動いたら、いきなり目隠しと思われるヘルメットがおりてきた。ゆっくりだったが、まずそこが怖い。


「それじゃあ、恐怖の『ブラインドコースター』、レッツゴー!」


「綾ちゃん、笑って過ごそうよ〜」

「佳奈ちゃん、余裕だねー、となりに座っているんだよね? もう声しか聞こえないや」

「うん、上がってきて上がっ……うわああああああっ!」

「うん、やばアァァァァァァァォぁぁっ! し、しぬぅうっ!」


 うああああああ! あ、ああああッ! なんとか気を保てた、よかっんあああああああああ! フェイントは良くないな、Gがかかりまくって、何が何だかさっぱりいいいいいいいやああああ!


「そろそろ終わります。準備してください」

「あ、や、ちゃ、ん……、だ、だい、じ……、じょう、ぶ?」

「かな、しにかけた、おりる」

「おりる」


 私たちは自分の足で降り始める。そしてすぐ近くにあったベンチに座る。


「ごめん、想像以上だった。こんなもの初めて乗ったよ」

「信濃ちゃんがそう言うなら……、私たちは普通じゃない物に乗っていたんだ……」

「うん、でも逆音はそんな叫ばなかったね。綾ちゃんと佳奈ちゃんの悲鳴がうるさかったよ」

「だってやばいもん」


 それ以外の言葉は不要だった。

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