第21話「ちょっとした楽しみ」


3ヶ月に1度くらいのペースでうちの店には洗い屋さんが来ます。洗い屋さんとは、床清掃をしてくれる業者さん達の事です。



清掃日の何週間か前に連絡の紙が来ているので、いつ清掃するか把握できます。当日は時間がかかる仕事はなるべく早めに片付ける必要があり、少々前倒しで仕事をしなければなりません。うちだと業者が来るのは深夜3時~4時頃ぐらいです。




洗い屋さんはバン(主に貨物を運搬する屋根付きの自動車)で来ます。清掃作業するための洗剤やら荷物を詰め込む為です。大体男3~5人ぐらいのグループで来ることがほとんどです。20代のリーダーの人が50代のおじさんに仕事を厳しく指導するシーンも。仕事って年功序列じゃないのを感じました。




彼らが到着したら店の床にある小物系はなるべくどかします。事務所にある椅子も机の上に置いたり、ゴミ箱をレジの上に置くなどします。入り口付近には洗い屋さんが黄色いフェンスを置き進入禁止にさせます。この黄色いフェンスには日本語、英語、中国語で「清掃作業中につき、立入禁止です」と書かれています。




そう、清掃時間中は一切お客さんを入れることは出来ないのです。勿論、小夜子も相方も店外に出て清掃が終わるまで時間を潰します。その間はタバコを吸うのも、ジュースを飲むのもOKです。




お客さんがいなくなったのを見計らって洗い屋さんは道具を準備し、作業にかかります。先に自動ドアの電源を切り、天井のエアコンのスイッチを洗い屋さんに預けます。彼らはエアコンのフィルター清掃もしてくれます。他にも長いモップで窓の壁を拭いてくれたりしてくれます。窓は普段拭きませんので、いつも業者任せです。




中で洗い屋さんが掃除してフェンスも置いているのに、それでも入ってこようとする馬鹿な奴もやはりいますが、それは阻止します。中にはギャーギャー喚く人もいるので迷惑極まりないですが無理なものは無理ですからね……。つか、フェンスが見えてないのかな。




さて、清掃が終わるまで大体1時間前後です。

その間は暇なので煙草吸って、ジュース飲んで、携帯見て時間を潰します。すぐ近くに自販機があるのでコーヒー買って眠気覚ましをすることも。




ですが、ここではちょっとし楽しみがあります。それはラーメン屋に行く事です。




実は小夜子は大のラーメン好きで様々なラーメン屋を探しては足繁く通っています。これは「東京魔人學園剣風帖」というゲームで仲間達がよくラーメン屋に通っていた事から影響を受け、ラーメン屋に足を運んでいたら癖になってしまったという習慣です。




元々大人数での食事はあまり好きではなく、他人の食べるペースに合わせるのも苦手なので、一人での食事がいつも多かったのですが、ラーメン屋はそれに打って付けでした。




雑誌の情報はあまり信用できませんので、大概ネットで評価の高いお店を探したり、友達や職場の先輩・後輩達から教えてもらった店に行ったり、実に色々な店に行きました。関東の方にも好きなお店があるので、いつか必ず行ってみたいです。日本全国のラーメン屋を制覇したいなぁ。




で、店から歩いて5分ぐらいの場所に美味しいラーメン屋さんがあります。深夜営業しているお店で大概空いてるので、美味しくラーメンを頂きます。相方も小夜子ほどではないですがラーメン好きなので、先程の馬鹿な奴を防ぐ為に交代でラーメン屋に行きます。



深夜にラーメンは太るかもしれませんが、正直ほとんど気にしていません。




つか、楽できるし、時給発生しているにも関わらずラーメンを食べられる……。あと、小夜子達で床掃除しなくていいので楽(笑)




こういう”ちょっとした楽しみ”って大事です。




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