第7話「事態の重さに気づけよ」


いつものようにS店で勤務していた時。

酔っぱらいの多いこの街はおかしな人が多いです。

この日も二人組の中年男性と女の子の酔っぱらいが入店しました。

でも、この時のお客さんは想像を絶しました。

中年男性の一人がなんと、顔面血まみれなのです。

血は明るい場所で見るとポスターカラーの赤色より赤々しくて鮮明です。

その赤さはドラマなんかよりもドギツく、ショックを受けます。

本当に顔面が血の海に染まり、真っ赤でした。

恐らく、どこかで転んで顔を強く打ったのでしょう。

血まみれの人は店外の灰皿近くでフラフラ立っていました。

意識はしっかりしているようですが……。




無事な方の中年男性が慌てて店でテイッシュやら氷を買い込み、男の人の手当をしましたが、そんなもの応急処置にもなりません。女の子は恐らくどこかの店の同伴の子でしょうが、怒って去っていきました。なんで去っていたんだろうか。ある程度処置?が済み、何やら会話を始めます。言葉遣いから察するに上司と部下だと思われますが、二人は「もう1件行くか」みたいなノリで会話から雑談がスタート。事態の重さを全く把握していません。部下の方、顔が血塗れのままですが。




「あの救急車呼びましょうか?」




一応声掛けをしたものの、二人は「ああ、大丈夫、大丈夫」と言って二人は夜の街に消えていきました。でも、終電も過ぎた夜中ではタクシーか始発を待つしかありません。ですが、血塗れ顔ではタクシーも流石に乗車拒否するでしょう。





二人は果たして、本当に帰れたのでしょうか。

今でもちょっと気になります。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る