第12話「ATM難民 Part2」


夜、面倒くさい客がよく来る。

それは顔が真っ赤でベロンベロンに酔っ払ったおっさんだ。

その隣には30~40代らしき女性が二人いる。

女性たちは余所行きのドレスっぽい服を着ている事からお店の女の子だろう。

我がコンビニ周辺は飲み屋街のど真ん中でクラブ・バー・カラオケ等の飲食店が星の数ほどある。おっさんはその女の子の店の客だと思われる。

彼女たちはATM前でぎゃあぎゃあと揉めていた。

あまりにも五月蝿くて店内にいる客も舌打ちしたり、イライラしていく。

何故、揉めているのだろうか。その理由は至極、単純。

おっさん金を持っていないのだ。




どうもおっさんはお店で飲みまくったものの、財布がすっからかんらしい。

そこで仕方なくATMで金を引き出すことにしたのだろう。

勿論、そんなおっさんを帰す訳にはいかないので女の子達がついてきたのだ。

しかし、酔っぱらいのおっさんはぐてんぐてんのべろべろ。

暗証番号を何度も間違いまくる(笑)

しかも女の子達に向かって「俺、払ったやろ!」という始末。

女の子達はブチ切れて「払ってませんよ!」とパワフルに怒鳴り返す。

お店の売上がかかっている以上、彼女たちも真剣だ。

そんなギャーギャーとしたやり取りに対し、ATMを使いたい他の客は諦めて帰っていく。30分ぐらいすったもんだした末、別のコンビニへと向かっていった。





このケース最近、多発しまくりで非常に鬱陶しい。

ある日、また同じような酔っぱらいのおっさんが女の子に連れられやってきた。

しかし、酔っぱらいの頭に暗証番号入力は難しい。

ATMのカードは何度も入れては返ってくるの繰り返しだ。

そんな時、女の子はお店の人と連絡をするためか、一旦外に出て携帯で話をすることに。おっさんはATM横にある傘置き場の上でグーと寝ようとしていた。




「あの、ここは寝る場所じゃないんですよ! 寝るなら他所に行ってください!」




筆者は毅然とした態度で怒鳴った。

こういう酔っぱらいに親切な対応は意味がない。

時にはキツく言わないと聞いてくれないのだ。

おっさんはそんな風に言われると思ってなかったのか、素直にすごすごと店を出た。

というかさ、そもそもお金をきちんと持っていればATM来る必要もないのに……。

本当、ため息しか出ない夜勤であった。

この飲み屋街にいると嫌でも日本オワタを実感してしまう……。

いや、勿論終わってないんだろうけど、事実心では本当にそう思ってしまう。

酒は飲んでも飲まれるな。








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