第15話「地震」

2018年6月18日。

この日は小夜子の誕生日です。

何歳なのかは公表しませんが……もういい歳です(苦笑)

この日、大阪で大規模な地震が起きたのはご存知だと思いますが、その時の小夜子はどうしていたのか。そこら辺をまとめてみましたので、お暇つぶしにでもどうぞ。




さて、前日17日の夜勤時に小夜子はいつもの飲み屋街の店ではなく、姉妹店の方で勤務していました。勤務時間は0~5時といつもに比べると比較的短い時間です。飲み屋街の店は8時間、9時間労働だからね……。今回、姉妹店では停電作業が行われる予定となっていますので、いつもより仕事を前倒しで進めつつ、レジもやります。相方の先輩は発注やウォークインの整理を担当です。




停電作業とは何か……その名前の通り、停電で作業することです。

まあ、そんな事は書かなくてもわかるよね(笑)簡単に言うと、業者が電気系統の設備メンテナンスをする為、どうしても停電させる必要があるのです。深夜2時30~3時30分まで行われるのでそれまでに仕事を済ませておきます。停電10分前にはレジの電源や事務所のパソコンの電源を切り、ATMの備え付けの電話で停電作業するのでATMの電源を切ることをコールセンターに頼み電源を切ります。準備を終えたら、挨拶に来た業者に許可を出し、停電させます。




停電すると本当に真っ暗です。非常灯があるのでわずかに明るいですが、それでも深夜に真っ暗なコンビニはやや不気味です。コンビニは不夜城の如く、いつでも開いていて当然というイメージが強いと思います。その灯りが消えたら「え?あのお店潰れたの?」と誰しもが疑問符を浮かべるわけです。道行くお客さんの何人か聞かれましたが、「停電作業中で~」と伝えるとホッとして帰っていきました。確かに不安になりますよね。防犯の意味合いもあるし。




で、この停電作業中の時はお店には誰もお客さんを入れることができません。

勿論、自動ドアの電源も落としています。レジもATMも動いてませんし、何より暗い状態ですので買い物は無理です。作業が終わるまでの1時間、完全に店は使えない状態になりました。で、その1時間何をしていたかというと、まず先輩はSATという発注専用の機械で発注をしています。この機械はタブレットよりやや大きめの機械でして、紐がついていて携帯することもできます。ここで入力したデータを元に商品が納品され、店頭に並ぶ訳です。一方、小夜子は店の看板をモップでひたすら清掃することに。




どこのコンビニでもそうですが、お店がひと目でわかるように看板があります。そこを全箇所モップでゴシゴシと掃除します。しかし、暗いので汚れが落ちているかどうかがわからない。看板はやや高い位置にありますので、脚立を使いながら清掃するものの、腕が痛い、肩が凝る羽目に。途中、ゼエゼエと荒い息を吐きます。元々肩こりなのですが、更に悪化した気がします……。




時々、ジュースを飲んで水分を補給しつつ、先輩と「ウマ娘プリティーダービー」の話をして楽しみます。ウマ娘は最近まで放送していたアニメでこの先輩から勧められて小夜子も見始めました。実在の馬をキャラクターとして擬人化し、徒競走みたいになっているアニメです。時々ライブもするなどやや風変わりな内容ですが面白いです。スマホのアプリにもなるそうで。武豊選手が出演しているCMも放送されていたり、駅の巨大広告などでご存知の方も多いと思います。そんな風に駄弁りつつも作業を続けていきます。




やがて作業が終わり、灯りがつきます。事務所のパソコンの電源を入れたり、ATMの備え付け電話でオペレーターに作業終了を報告してATMを使えるようにしたり、レジの電源をつけました。ただ、レジは再起動まで時間がかかるので完全に動くようになってから自動ドアの電源を入れ、お客さんを入店可能な状態にしました。




店内清掃を終え、退勤時間ですが停電作業のせいで先輩が休憩時間を取れず、小夜子は30分延長して5時30分に仕事を終えました。元々延長の件は店長から許可を頂いていたので問題はありません。始発は朝5時から動いていますが、小夜子は事務所に籠もってスマホでアニメを見ていました。この日は「こみっくがーるず」「ヒナまつり」「ウマ娘プリティーダービー」「刀使ノ巫女」等色々な作品をたっぷり視聴していました。




やがて7時20分になって朝勤務の女性の人が来ます。

彼女の勤務時間は8時からですが朝のラッシュは混雑の可能性もあるので自主的に早く来ているそうです。勤務開始時間までゆっくり廃棄を食べて過ごしたいので、小夜子は挨拶をして素早くその場を立ち去ります。そのままいるのはちょっと……空気読めと言われかねませんので。先輩にも挨拶して地下鉄の駅に向かい、電車に乗ります。




30~40分ぐらい経った頃、地元の駅に着きました。大体朝8時くらいですかね。眠かったのもあり、駅のホームにある椅子に座り、仮眠を取ってました。小夜子は疲れるとよく椅子に座って30分ぐらい仮眠を取ることがあります。すると、横揺れの地震が……携帯電話の緊急地震速報も鳴りまくります。幸いにも地震はすぐ収まりました。




ただ、向かいのホームには出勤途中のOL、サラリーマンの姿が数多くいます。おまけに電車は今の地震の影響で「安全確認を行いますので車両の発進を見合わせます」等とアナウンスを出し、電車はちっともホームに来ませんでした。それを尻目に駅の改札を出ましたが、地下鉄駅前は大混雑!




アイドルのコンサートでもあるかの如く、人が地下から地上へとごった返していました。ただ、アイドルのコンサートと違うのは人々から感じる怒り、焦りといった負のオーラです。そこかしこから苛立ちを感じました。




家のマンションに帰ると地震の影響でエレベーターが使えませんでした。自宅は6階ですが、いつも階段で上っているのでさほど苦にならずに行けました。と、小夜子は大した被害もなく、運良く帰れました。怪我もしていません。ただ、飲み屋街の店でいつも一緒に組むT君(以前、1日来なかった遅刻魔の)は悲惨なことに。




まず、飲み屋街の店では七味の瓶が割れたり、棚に並べているカップ麺が崩れる被害がありました。ワイン等は奇跡的にも無事だったようです。しかし、もっと悲惨なのはコーヒーメーカーの牛乳が全部溢れてしまったり、揚げ物を上げる油が全部床にぶちまけられたり……。地震発生時刻は午前8時前なのでT君は勤務終了直前でした。ですが、片付けをする羽目になり、泣く泣く残業となりました。おまけに大阪の電車はほぼ全てが不通になり、振替輸送すらありません。停電や余震の警戒で復旧の見込みは全く立ちません。T君が家に帰ってこれたのは午後13時だったそうです。




次の日、彼はこの地震を「小夜子が誕生日だから大地が祝福したんだ」と冗談で言います。それに店長まで乗ってきます。おまけにT君は常連の客や業者や新聞配達の人に飽きもせず、そのネタでイジってきます。その度に否定しています。この弄りは当分続くんでしょうね……やれやれ。




あ、でも誕生日だと知ったあるお客さんからタバコを貰えました。いつも吸ってる「クール ブーストミント5」を頂きました。ちなみに前まではクール・エスケープ・アイスランドでしたが廃盤になったのでブーストミント5です。え?どうでもいい?お後がよろしいようで……。


























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