第5話「一触即発」
以前、一日来なかった店員と筆者はよくコンビで働く事が多いです。
遅刻が多いので、遅刻(TIKOKU)の頭文字を使い、T君としておきましょう。
彼はうちの職場では筆者より少し短いものの、仕事はよくできます。
新人に対する教え方は下手ですが、自分でする仕事や理解力は強いほうです。
ですが、彼の欠点は前述した遅刻と物言いが少しカチンときやすいこと。
言葉は文章で書くのと実際口に出すのは違いますよね。
筆者はそこまで声を荒らげることもないし、言葉遣いは丁寧になるよう心がけています。まあ、それでもタメ口に近い言葉になりがちなので気をつけてますが。
ただ、T君の場合は少し違います。イントネーションもありますが、言葉がどこか刺々しく、以前もそのケースのトラブルがありました。
その日、筆者は夜21~5時までの勤務でした。
勤務を終えたものの、帰らずに事務所で篭ります。
朝5時なら既に電車の始発が始まっていますが、すぐ帰る気にはならず、事務所で廃棄を食べつつ、PSVITAで「無双オロチ」をプレイしていました。プレイヤーキャラは夏侯惇、甲斐姫、くのいちの三人。このゲームではキャラを三人選び戦闘中好きなキャラに変えて遊べます。無双と三国のキャラが全員登場し、爽快感溢れるパラレルワールドで無双できます。勿論、イヤホンをして遊んでいました。
筆者が事務所で篭っている間、T君はいつも通り、一人で働いていましたが、何やら客がギャーギャー喚いていました。事務所内のカメラで確認すると、予想通り、お客と揉め事が起きてるようです。しばらく観察しましたが、どうも酔っ払いの中年男性がT君の言い方にカチンと来たらしく、ギャーギャー喚いている模様。
T君は話を続けるものの、酔っぱらいに納得の表情は見えません。そもそも日本語を理解する頭ではありません。以前も書いたよう酔っぱらいとは大きい子供です。子供に理屈は通じません。さて、だんだんT君もイライラしてきました。彼の心情は「殴ってきたら絶対に殴り返す」です。以前彼に聞いたらそんな返答が来ました。
ケンカが起きれば、それはもう傷害事件です。
しばらく事務所内のカメラで様子を伺っていましたが、とうとう、一触即発という雰囲気に陥りました。なんと言いますか、背中に針が刺さりまくったような緊張感がありました。即、警察に電話しました。
事務所内に筆者がいることを酔っぱらい男は知りません。
店内側から事務所は死角になっているので見えないのです。
突然、警官が来たことに酔っぱらいは狼狽し、そのまま店の外に連れ出されました。
後でT君からもお礼を言われ、我ながらナイス・タイミングだと思いました。
うちのコンビニではSECOMをつけています。ミスターこと長嶋茂雄さんのCMでご存知の方も多いでしょう。ですが、正直、警察より来るのが遅く、酔っ払い相手では対応も微妙です。以前、似たような事が起きてSECOMを呼んだことがありますが、日本語が通じない大きい子供(酔っ払い)に理屈は通じないのに説得しようとするし……あくまで警備会社なので強制力が無いそうです。こういう荒事はSECOMよりも警察の方が頼りになります。
というか、酔っ払いは本当に勘弁して欲しいですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます