第3話「奴が来ない」


その日も夜勤務でした。

いつものように遅刻せず店に入りました。

筆者は勤務開始の大体15~20分前には店に入っています。

何でかというと廃棄を少し食べて腹を満たしておきたいからです。

事務所に篭り、廃棄を食べ、何気ない世間話をしつつ、時間を潰します。

やがて、そろそろ仕事するかという時間になりました。




しかし、相方が来ない。





待てど暮らせど相方が来ません。

電話してもLINEしても相手から連絡や返事がありません。

そろそろ勤務を終えたいおっちゃん店員さん。

彼と筆者とは仲良しなので居残ってほしいと頼み、しばらくは居てくれることに。

しかし、一時間経っても連絡が来ないという状態に。

その間もLINEや電話を鬼のように鳴らしますが、返事や連絡一切なし。




代わりの人を呼べばいいじゃないかと思うでしょう。

ですが、実はうちの店は結構ギリギリの人数で仕事をしています。

コンビニはご存知の通り、24時間営業です。

水道光熱費を節約というのは難しいでしょう。

では、節約したいという場合、どこを削るかというと人件費です。

オーナーや店長は人件費を抑える為、ギリギリの人数しか雇っていません。

一人でもダメになると代わりの人がいないのが現状です。

仕方なく店長の携帯に連絡することにしました。




「今から行きます」




と、一言返事をしてくれた店長。

しかし、彼の声は眠たさMAXです。

それもそのはず、店長は朝から勤務です。

夜中は既に就寝している時間なのです。

やがて店長が来て、おっちゃん店員は勤務を終え、帰りました。

店長に申し訳なく思いつつも一緒に勤務することに。

筆者には優しくしてくれましたが、内心非常にキレているのがわかります。

触らぬ神に祟りなしではないですが、いつも以上に一生懸命仕事をしました。

内心、穏やかじゃなかったです……怒らせると怖い店長だと評判なのでね。






夜勤を終えて、朝方10時頃。

家に帰っている途中で携帯が震えました。

今日勤務するはずだった相方からです。

話を聞くと、先に店長に連絡して謝罪したそうです。

で、その後で筆者の所に電話してきた模様。

相方が言うには





「寝て起きたら朝だった」




との事。

電話もLINEも全く気づかなかったと。

朝起きて携帯を見て着信履歴の山に気づいたと。

彼は以前からも遅刻が多く、睡眠障害だと自身で言ってました。

それ以降、彼も反省したのか、遅刻の回数は減りました。

まあ、それでも時々遅刻しているのだけれど。

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