第19話 ハッカ飴
右手を痛めた
「
そう言っておばあさんはバッグまで湿布を取りに行った。
周りでは、心配そうに見つめながらゲームを続けるおじいさんおばあさん。
「くっそう。ちょっと失敗しただけでこの痛みって。年寄りの体ってどんだけ弱いんだよ。あぁ!痛い・・・折れたかもしれない。」
「
さっきのおばあさんがヨタヨタと湿布を貼ってくれた。
「最近、練習来ちょらんかったから腕が鈍ったんやないねぇ?」
「いや、ゲートボールやったことないから。」
「何言っちょるん?私たちのチームの中で
また入れ歯をしっかりと見せて大笑いしているおばあさんに
「あんた何て名前?」
「名前って?」
「だからあんたの名前。」
「どうしたん?私の名前を忘れるなんて。
「あそこの病院、薬を配達してくれるけぇ便利やねぇ。
『私が通院するわけないだろ。本当はまだ高校生なんだから。』
「あ、そうじゃった。飴食べりぃ。ほら。」
が、出てきたのは市販で売られている普通の飴だった。
「口が乾くけぇね。やっぱ飴はかかせんねぇ。」
そう言って
「げぇ!ハッカ飴とか絶対舐めないし!」
「あれ?
「いや、いい!」
『いや、絶対想像と違うから!この飴は絶対私が好きな味じゃないから!小さい頃一回食べて吐きそうになったじゃん。』
心の中でそう思っていたにも関わらず
口の中の体温で徐々に溶けていく飴。乾きを癒すように甘い汁とくせのあるハッカの匂いが充満してきた。
その味と匂いに
「う、うまい!!!」
「そうじゃろ?この工場のハッカ飴おいしいんよねぇ。」
いや、そうではない!
ハッカ飴事態がおいしいと感じたのだ!
『なにこの懐かしい感じ!なんか泣けてくる!やばい!これってタピオカティー超えちゃってるかも!!!』
両手で頬を抑えながら、飴が溶けて消えていく幸せをかみしめていた。
『ジジババが飴を舐める意味がわかったかも・・・。』
コロコロと口の中で飴を転がすあいだにゲートボールも第一試合が終わったようだ。
『こんな簡単なゲームで3万円だなんて、年寄りは金持ちだなあ。』
「ねぇ、これってさ、ルールってどうなってんの?」
「
ずっと笑っていた
それに気づいた
「おかしな人やねぇ。」
「ほら、これにルール書いちょるけぇ読んで。私は次のゲームに参加してくるけぇね。」
そこにはゲートボールのルールが変な絵と一緒に書かれていた。
「なになに?ゲート通過させて・・・ああ、あのゴールね。最後にあの棒に当てればいいのかな?タッチ?なにタッチって?」
専門用語が並びすぎて普段、教科書すら目を通さない
「ん?自分の玉入れるだけじゃだめなの?他人の玉も動かせる???ビリヤードみたいなもん?」
読み続けていってもきっと理解できないだろうと思い、
「あ、無理だわ。なんかやる事簡単なのにルールが難しすぎる。」
3万円が遠く感じた
『あのおばあさん、なんか
年寄りになったことで何も楽しみがないと感じていた
「やあ!!じいちゃん、ばあちゃんやってるね!!」
突然大きな声が聞こえた。若い男の人の声だとはわかったが、あまりにも元気がいい声だったので
「おお、
その
短髪で日に焼けたかのような薄茶色の髪の色。つり目だがどこか優しさのある瞳と元気な笑い方。まわりの年寄りの2倍はあるんじゃないかというくらい体格がよく、筋肉もあるようだった。耳についている3個のピアスが光っていた。
「そうなんすよ!ちょっと今日早めの休憩もらったんで、ゲートボールやってかなって思って来てみたんすよ!」
「
別のおばあさんがまた声をかけた。
「そうしたいんすけど、まだ仕事あるんで。今度の試合には見に行かせてもらいます!ゲートボールみんなでするの楽しみで俺、仕事頑張ってるんで!」
「おう、そりゃええことやね。頑張りぃや!」
その男の人はどうやら
それよりもっと驚いたのは、
「
何ともにこやかで爽やかな笑顔で腕をぶんぶんとふりながら
『なんで私だけにその挨拶!??』
それを見た
『なんだったんだ、今のは・・・・。』
ただ座っていただけだったが、解散してからはどっと疲れがでてきた。
『やっと帰れる。』
「
「あ、うん。」
「今日、元気なかったけぇ、みんな心配しちょったんよ。いつも
え!?
そう言うと
「ババア、いったい私の何の話してたんだろ。どうせ、学校行かないだとかピアスの事だとかを愚痴ってるんだろうな。だから嫌なんだよ!」
一人で苛立ちながら
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