第24話 桜雅にとっての愛
まるで4人のその空間は
『少し前までそこにいたのは自分だったのに。』
『それだけならまだいい。なんで
自分の知らないところで
それにも腹が立つし、知らない女とみんなが仲良くしているのにも腹が立った。
しばらく見ていると4人が歩き出したので
『このまま見ていてもつらい。』
そう思ったからだ。
4人を追いかけようとする足を止め、
「
誰かに呼ばれた。
もうその大きな声と元気そのものの呼び方で誰かは一瞬で想像がつく。
「こんなところで会うなんて偶然っすね!」
「げっ!」
思わず嫌な声をあげてしまったが、
「買い物っすか!?じゃあ俺、荷物持ちについて行きますよ!」
いきなりの誘いに
「いや、いい!」
「無理しないでくださいよ!ほら!俺、力あるんで!」
「そ、そういう問題じゃない!」
「あ、誰かと待ち合わせっすか?」
「そうじゃないけど・・・。」
「じゃあ遠慮しないでくださいよ!」
恐ろしく遠慮したい・・・・。
こんな年寄りをここまで誘う男がいるだろうか。
『もしかしてババアの金目当てなんじゃ・・・・。』
そう思うと
「な、なんなのよ、あんた!こんな年寄りを誘うなんて!どうせ金目当てでしょ!!」
「はははは!久しぶりに冗談言ってくれましたねぇ。
「はああ!?」
「あんたバカじゃないの!言っとくけどね!私は騙されたりしないんだから!オレオレ詐欺とかすぐわかるんだからね!」
「ははっ!そりゃそうだ!マジで
いったいこの男と
いつも怒鳴り、文句を言い、やりたいこともやらせてくれないようなそんな
その謎を解きたいという思いもあったが、このまま
「私、今から帰るだけだから。」
「そうなんすね!じゃあ俺もついていきます!たまには家にあげてくれないっすか?」
『やっぱコイツ、ババアの金目当てだ!』
そして一方的に話をしてくるので
「気持ちいいっすね~。」
ドカドカと歩いたらすぐに
しかし、
「
「ひゃっ!ひゃい!!」
聞き流していた
「な、なんで私が
「ん?何言ってるんすか?
「あ、ああ・・・。うん、そう。そういう意味ね。」
「
「そ、そんな気分じゃないから・・・・。」
『ん?私の話?待てよ・・・・。』
ゲートボールの練習の時も、その台詞を聞いた。
そうだ。あの元気なおばあちゃんの
『私の何を話しているんだろう。やっぱり愚痴かな。』
知りたい気持ちもあったが、なんだか聞くのが怖かった。
落ち込んだ状態で、また自分の文句話など聞いたら気分がさらに悪くなるだろうと思ったからだ。
「俺ね、
「え?」
『そこで愚痴とか言わないでよね!私、今そんなこと聞けるほどテンション高くないんだから!お説教とかされたらマジ笑えないから!!』
聞きたい。いや、聞きたくない。
「俺ね、本当は
「え!そ、そうなの!?」
「そうっすよ、話したじゃないすか。ははは。また冗談言って
その笑顔に
「さ、寂しくない?」
「そうっす、寂しいんです。俺、思うんですよね。
「!」
「俺が不良やってても、平気で人傷つけても、誰も
今まで自分は
しかし、それをこんなに感謝する人間がいるだろうか。
「出会いって不思議ですよねぇ。あのフンコロガシより汚ねぇもん転がしてた俺が今は仕事して夜間学校行って勉強までしてるんすよ!一丁前に人助けしたいとかって思えるなんて!ははっ!もう俺ね、今が人生で一番楽しいっす!」
まるでこの街の憂うつを吹き飛ばしてしまいかねないようなその声。
不思議なことに
それと同時に
いつも
そこにいて当たり前と思っていた
いや、むしろ死んでくれと思っていた
それを何と呼べばいいのかはわからない。
「いやあ。
『いや、ほとんど話してないし。『また』って何?今日どこも一緒に行ってないし。』
心の中でボヤボヤと文句を言ってはいた
「あんたの話面白いよ。また聞かせて。」
「そうっすか!?嬉しいっすよ!いつでもいいっすよ!あ、またゲートボールの時にでも!!」
「うんうん、わかった。じゃあその時でも。だけどね、あんた若いんだからこんな年寄りばっか相手にしてないで、彼女でも作って楽しみなよ。」
なんだか年寄りくさい事を言ってしまったようだが、
「またその話っすか!?ははは!
なぜなら、そんな笑顔にしてやれた自分が誇らしく思えたからだ。
瞬間、
よろよろと倒れこみ玄関の土の匂いを近くに感じる。
意識が朦朧として
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