第4話 入れ替わった弥琴と京子
「うそでしょ・・・。なんで私が私自身を見てるの?」
何とか壁にもたれながら、立ち上がるとそこに立っている
「
いきなり
びっくりして一歩後ろに下がると
「わかっちょるか?あんたが今入ってるのは私の身体。そして私が入ってるのは
そんなことを確認しなくても
2人は魂が入れ替わったのだ。
「なんで!?うそでしょ!?ババアあんた何かしたの!なんでこんなことになったの!?入れ替わるなんてありえないじゃん!」
「そりゃそうだ。私だって信じられんけぇ、こうやって自分の身体を探しに来たんよ。けど、こりゃどう見ても入れ替わっちょる。たぶんこれは祟りじゃ。」
「祟りって何よ!?何もしてないのに!!」
とは言ったものの、
「やだやだやだ!!こんなババアの体いやだよぉ!肌は汚いし、皺ばっかだし、おまけに重いし!!」
「あんただけの問題じゃないけぇね!いきなり体が変わったら、私だってびっくりするんよ!
まあ確かに若返るのは悪くないけどね。」
「ババア!なに楽しんでるんだよ!そりゃあんたはいいよ!その体だったらもう一度人生やり直せるじゃねぇか!私はお先真っ暗だよ!」
「とにかく元に戻れるまで待っとくしかないじゃろ!」
「待ってられるか!今すぐ元に戻せ!」
そう怒鳴ったところで
それも
数秒の静けさの後、
「母さんに話してもたぶん信じてくれんけぇ、とりあえず自分の部屋で待っちょれ。そのうちまた入れ替わるじゃろ。」
そうだ。前にも戻ったのだからきっとまたすぐに戻るはず。
「うっ・・・・。」
膝が痛む。
一段一段が重く、一番上まで上がるのがまるで地獄のように思えた。
「私の身体なのに・・・・。本当はこんな年寄りの身体じゃないのに・・・。」
部屋に戻るとすぐに鏡をのぞいた。
「うえぇっ・・・なにこの顔。マジでありえないんだけど。」
こんなに
その顔をじっと見てると涙が出てきた。
「もう!最悪なことばっかり!!もうマジで嫌だ!!なんで私がこんな目に合うの!!?」
机をバンバンと叩いたところで何も変化は起きない。
それどころか叩いた手が痛いし、その手のひらの年老いた手を見るのにもムカついた。
「早く戻って!!夢なら覚めて!なんでこんな漫画みたいな事が起こるんだよ!!」
バンバン ギシギシ・・・・
二階から響く音を気にすることもなく
「これは祟りだね。」
1人ぽつりとつぶやくしかできなかった。
その後、廊下に誰もいないのを確認して
しばらく叫んだ後、
見たくはないが、どうしても鏡が気になってしまう。そのうちシミの数まで数えだした。口のまわりに生えている白髪のヒゲを何とかできないかとピンセットを取り出してもみた。
そうしているうちにだんだん落ち着いてきて、これはブログにあげたらニュースになって面白い事になるんじゃないかとまで考えていた。
「
母の声に
母が部屋に入ってきた。
「
え!?おばあちゃん!?なんで
「母さん・・・・わ、私・・・。」
「何してるんですか?おばあちゃんも朝食食べないと。お部屋に運びましょうか?」
「やめて!!」
「食べる!食べるから置いといて!」
「大丈夫ですか?体調悪いんですか?」
「全然大丈夫!もうめっちゃ元気だから!」
「めっちゃ・・・・?ふふ。おばあちゃん、そのしゃべり方。まるで
そう言って母は戸を閉めて行ってしまった。
その時しっかりと自分は今、
やはり自分は年寄りの身体なのだ。夢じゃなさそうだ。
それに今もまったく元に戻る様子などない。
襖を勢いよく開けて中に入るなり
「ババア!戻らねぇじゃねぇか!いいかげん私の身体を返せ!!」
よく見ると
「かっ・・・・勝手に入ってくるんじゃないよ!」
慌てて
「そんな事してる場合じゃないだろ!!なに呑気に遊んでるんだよ!しかもそれ私の身体だろうが!勝手に着せ替え人形するなよ!」
心の隅っこで密かに笑いながら
「母さんにバレたか?」
「いや、たぶんバレてないと思う。っていうか、信じないだろ。言ったとしても。
私たちだって信じられないんだからさ。
「そうじゃろうね。できれば言わないまま元に戻れた方がええじゃろ。母さんはああ見えて気が弱いじゃろうから、私とあんたで何とか解決を・・・・」
「ダサい・・・。」
としか思えず
「いいかい?今のところ戻りそうにない。じゃけぇ、部屋を交換するよ!」
「は!?」
そこでやっと
「部屋を交換!?じゃあ、何?私がこのカビくさい部屋に住んで、ババアが私の部屋に住むってこと?」
「そうするしかないんじゃけぇ、我慢しな!じゃないと母さんに何言われるかわかったもんじゃないけぇ。」
「そんなの嫌だ!!こんな死人みたいな部屋にいたくない!」
「あんたは
確かに今、自分が
だけど、いつ戻るかもわからないそんな生活に耐えられるとは思わない。
「本当に嫌だ。もうこんなことになるくらいだったら死にたい!こんな体でいるくらいなら私、死ぬ!」
それを聞いて
そしてゆっくりと口を開き言った。
「どうせいつか死ぬ。それまでの辛抱じゃ。」
その重苦しい声の意味がその時の
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