第12話 ひだまりカフェで
「いい天気ですね。」
にっこりと笑う
その愛らしい笑顔にぴったりの優しい声で
「あの、
突然の問いに
「私が
などと言えるわけがない。
「えっと・・・・み、
「そうですか。でかけちゃう前に会えたらと思ったんだけど。」
「もしかして、
「はい。
その言葉に
「ああ、
「・・・・。知ってるんですね。
「
「すみません。」
「・・・・。」
『それだけ?謝るだけ??今まで言わなかった理由とか、苦し紛れでも弁解するとかなんかないの!?』
本当はどこかで
でも、
そうなってくると、もう何もかもが悪く見えてくる。
「あの、おばあさん。」
やっと
「おばあさんって言うな!
「あ、じゃあ
「え!?カフェに?」
「そうです。近くにいつも行ってる場所があるので、行きましょう。」
この状況でずっと近くにいるとまずいのではないかと思ったが、
どうせ行く場所も決まってなどいなかったのだ。
見慣れた白い壁紙にパキラが植えられた植木鉢。ドアの前にお人形専用の大きな椅子。日差しをいっぱい吸い込んだその部屋の中で向かいあった
きっと自分の肌は太陽の光でしわが目立って、まわりから見れば孫と祖母に見えるだろう。
注文した紅茶を白砂糖で甘く甘くしてミルクをたっぷり入れた後、スプーンでくるくるとかき混ぜながら
「ここにはよくみんなで来てたんです。」
『知ってるよ。』
「ああ、そうみたいだね。」
「
『ああ、確かにそんな時あったなあ。あの時は楽しかった。』
「
『え!?ふざけんな。何もしてねぇし。』
「お茶こぼしたり、植木鉢につまずいちゃって顔面打ったり。一度、やけ食いでケーキいっぱい頼んで全部食べたら気分悪くなってトイレから戻って来なかったこともあるんです。ふふ。」
『うう・・・。そんな昔のこといつまで覚えてんだよ!』
本当に面白そうに笑う
「
「はあ!?不器用じゃねぇし!」
思わず声が出てしまった。今、
しかし
特に怪しんでいる様子もないようだ。
「不器用なんです。
『ちょっ・・・ひどくない?本人に聞こえなければ何言ってもいいと思ってるの!?』
「たぶん私しか知らないくらい不器用なんです。お人形作ってくれた時もすごく下手くそだったし。」
『またその話かよ!むかつく!!』
ひきつる顔を何とか元に戻そうと必死になりながら
「だからダメなんです。」
『ダメって言うなよ!ダメならダメなりに生きてるんだから!』
「ダメなんですよ。
「へ?」
「
『覚えてないんだけど?』
「
「
「・・・・。」
「私、自分自身に聞いたんです。夢を追いかけて友達と別れるのと、大切な友達を守っていくのはどちらがいいのか。」
「それで夢を選んだの?」
「両方です。」
「え?だって友達置いていくじゃん!それじゃ夢を選んだことになるでしょ!?」
「私は小さい頃、服のデザイナーになるって決めました。それは今でもしっかりと自分の夢として揺るがないんです。だからその時の別の決心も同じなんです。」
「別の決心って何?」
「私、決心したんです。有名なデザイナーになって、
「ど、ドレス!話が早すぎでしょ!」
「早くてもいいです。
キラキラと輝いていて、未来を見つめていてそれが楽しくて仕方ないというような目だ。
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