第11話 壁一枚
玄関の前にたたずむ
昨日、電話で喧嘩したばかりでどうにも、しゃべりづらい。
インターホンの微かな機械音だけが響いた。
「何しに来たの?」
「
「何しに来たのかって聞いてるの?」
ひどい言いようなのは自分でもわかっていたが、昨日からの怒りが収まらないせいで冷たくしてしまう。
「
申し訳なさそうな声で
「そこで話せばいいじゃん。」
外に出て
「わかったよ。じゃあここで・・・。」
「何か用?」
「あ、あの・・・。昨日はごめんね。」
「・・・・。」
「今日、
「別に。そんなじゃないよ。」
「そっか。明日は学校来てくれる?あ、彼氏さんの事で悲しいのはわかってるけど、どうしても
一か月前に言ってくれていれば、その願いも簡単だったろうに。
そう思うと
「さあね、行くかわかんない。どうせ、すぐ東京行くんだから別に関係ないじゃん。それと私、彼氏とは寄り戻したから。」
「え!!?」
あまりにも大きな声で驚く
「なんで!?どうしてまた付き合うことになったの!?」
「なんでって。全部私の誤解だったから。」
「誤解って?何を誤解してたの?」
「何だっていいでしょ。」
いい加減、立ちながら話すことにきつくなってきた
しかし
「だから、他に女がいるっていうのも冗談だったみたい。」
「ちがうよ!
「はあ?なんでそんな事わかるの?」
「だって・・・・。」
うつむいて話す
『もしかして浮気相手が
「とにかくもう帰って。私、話すの疲れちゃった。」
そう言うと
台所に歩いて行き、食卓の椅子に腰かけた。年寄りの体では、どうにも立っているのが辛い。
「ふう。」
その手を見ながら思った。
『もう
自分で追い払ったにもかかわらず、寂しくて仕方なかった。
「
「なんであんたがそんな事言うの!?もう彼氏とのことは、ほっといて!」
そんなやりとりが3日ほど続いた。
なぜ
『そういえば、
嫌な考えが頭をよぎった。
『
考えてみれば、昔一緒にデザイナーになろうという話を持ち出したのも、
それどころか、彼氏をつれていつも学校をサボるのにもムカついてたのかもしれない。
「それなら、勝手に恨めばいいし!」
その後二日間はインターホンを無視した。
どこかへ行って何かをして帰ってきている。
家に引きこもることに耐えかねた
そうすれば、一分一秒も頭から離れない
玄関を開けて外の空気を吸う。日差しがあたたかく、良い散歩日和だ。
久しぶりに体が軽くなった気がした。
「寒っ!!!」
高校生の時のように薄着で外に出ると、底冷えがした。
一度部屋に戻りタンスから
「だっさ!なんでこんなに柄がいっぱいの茶色い服ばっかなの!」
と言って着てみるとけっこうあったかい。
「ださいけど、いい仕事するじゃん。」
お洒落には程遠いが、まああったかければいいかと思い外に出た。
どこに行くかは決めていない。
一歩を歩き出そうとしたその時、だれかに呼び止められた。
「あの。
「!!」
後ろを振り返るとそこには
「
「私の事を知ってらっしゃるんですね。」
その一言に自分が
久しぶりに目を向かい合って話す
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