第10話 手作りの人形
『一番の親友だと思っていたのに・・・。そうじゃなかったの?』
それを見た
「謝るか?」
「え!?」
「私から
「いい!何も言うな!」
「今は私がお前の姿じゃけぇ、何でもできる。」
「いいから何もするな!だいたい、こうなったのも全部あんたのせいだろ!こんな!こんな姿じゃなかったら、全部うまくいってたのに!ババアと入れ替わってから最悪な事ばっかり!もう嫌だ!!」
「ババアのせいだ。ババアのせいだ・・・。
『こんな目に遭うくらいなら、本当に死にたい。いつまでこんな姿で生きろって言うの!?』
一人でどんなに悲しんでも苦しんでも心の痛みは晴れなかった。
泣き疲れた後、誰もいない廊下をフラフラと歩いた。
階段を必死に上り、自分の部屋へ入ると手帳を取り出した。
手帳のカレンダーには、スケジュールとは言い切れないようなラクガキばかりが目につく。
その上から貼られたプリクラ。
「この時にはもう引っ越すことは決まってたのに。
罪悪感とひどい孤独感が
これ以上見たくないと思い手帳を片づけようとした時、机の引き出しの奥の何かに触れた。もこもこしていて柔らかい。
「こんな物入れてたっけ?」
取り出してみると、
小学生の頃、
「ああ、そうか。あの時、作った人形は自分でも気に入らなかったからもう一個作り直して
よく見ると、縫いきれていなかった場所が綺麗に補正されている。
「なんだよ、これ。勝手なことしやがって。どうせだったらいびつなこの顔を縫い直してくれりゃいいのに。」
そう思いながら机の中にたたき入れた。
プルルルル!
いきなりの着信音に
「いたたた!だ、だれ?」
スマホを取り出して着信画面を見ると、そこには信じられない名前が。
すぐにボタンを押して電話に出た。
「もしもし?」
「あ、良かった。もう出てくれないかと思ったよ。」
電話越しに聞こえるいつもの優しい声。それは
「電話無視してごめん。なんか話しずらくってさ。でも俺、
「え!?」
「もう一回やり直そう。ねっ。」
付き合っていた時の
しかしすぐに昨日の事を思い出した。
「なんでやり直そうと思ったの?」
「んん~?だって
「私とは別れたかったって言ったじゃん。」
「え~?そんな事言ってないよ。
「とぼけるなよ!他に女がいるんでしょ!」
「女?いるわけないじゃん。
「嘘!私と付き合ってると他の女と遊ぶ時間がないんでしょ!?私がメールばっかりするから嫌気がさしてるんでしょ!!」
しかしすぐにいつもより明るい声で笑いだした。
「ははは!何言ってるんだよ。もしかして昨日、
「・・・・。」
『そうなのかな。
そう思ったもののやっぱりひっかかる。
「そうだとしても、私を・・・・あ、そうじゃなくて私のおばあちゃんを押し倒すなんてひどいじゃん。」
「ごめん。ちょっと押したら倒れちゃったから俺もびっくりしてさ、イライラしてたのもあってすぐ逃げちゃったけど、あれは悪かったよ、ごめん。おばあちゃん、あの後大丈夫だったかな?よく謝っておいてね。」
そう言われて
さっきまでの孤独感が薄れていくようだった。
『
そう思えた。
「
「うん、もちろんだよ。」
身も心もボロボロだった自分に救いが戻ってきたように感じた。
それから
自分が
「グロス買いたかったの?じゃあ行くの付き合ってあげる。」
「え?いいの?じゃあ今度の休みに一緒に行こうよ。」
「了解。」
そんな約束までしてしまっていた。
そろそろ電話を切ろうとした時、
しかも
「
『やっぱり。
「うん、私も昨日聞いたの。」
「そっか。あの子さ、
「え?何がおかしいの!?」
「よくさ、嘘ついたり
「な、なに言ってるの?
「そうかな、
「・・・・。」
確かに今は
何も考えずに集中していると現実の嫌な部分が見えなくなって楽なものだ。
高校生だった時も楽しかったが、今もけっこう楽できていいのではないかと思えるほどだった。
いつもの帰宅時間よりも早く
それに気づいた
「ババア!
「ババア!どうなんだよ!?」
「安心しな。今日は学校には行ってないけぇ。」
「は?まじ?」
「今日はサボった。」
そんなバカな!
いつも真面目な
そんな状況に
「ババアがサボりだなんて!私に散々、サボるなだとか言っといて自分がサボるってどうなんだよ!?」
『サボって何やってたんだろう。』
ピンポーン
インターホンが鳴った。母はいないし、自分が出ることにした。
カメラ越しに映るその姿はうつむいていてよく顔が見えない。
しかし、明らかに見たことのある髪型と礼儀正しく着た学校の制服。
間違いなく
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