第7話 真輝の裏顔
「ふった?
「ふったさ。あんな男と一緒にいたらいけん。」
「嘘でしょ?バカじゃないの!!人の彼氏の事勝手に決めてさ!どうしてそんなことするの!」
「今は私があんたの代わりだからね。好きなようにするさ!」
「クソババア!だからババアは嫌われるんだよ!」
「だったら私はあんたの代わりなんだから私も好きなようにさせてもらうからね!」
「ああそう。好きにしいや!何でもしたらええわ!そのかわり、あの男とは二度とつき合わせん!」
「ああ!してやるよ!!」
そう言いきって
「クソババア・・・・クソババア・・・・今に見てろよ。」
泣きながら
トゥルルル・・・・トゥルルルル・・・・
長い通知音。
しかし既読もつかない。
何度も何度も電話をかけ、しつこいほどにメールを送った。
しかし
「くそ・・・。やっぱり怒ってるんだ。でもちゃんと話せばきっとわかってくれる。」
やり場のない苛立ちで、爪を噛んでしまう。
何か・・・・何か
この部屋を燃やしてやろうか。
それじゃ自分が家にいられなくなって困るだけだ。
「何かババアの大切な物を盗んでやればいいんだ。」
しかし、
色々、部屋を探ってみたものの出てくる物はさほど重要なものなどない。
「ババアの大切な物って何だよ!ってか、そんな物まずないだろ!もう年とって何もすることないんだから死ねばいいのに!」
その一言を言った瞬間、
しばらくすると夢を見ていることに気付いた。
数日前、まだ自分の体がちゃんと自分と一緒だった時に見た昔の夢と同じ。
あの神社で
だが、今回の夢は一つ違うところがある。
自分は
「泣いてるのかい?」
自分はあの時の
目の前の小さな自分も同じようにあの時と同じセリフを繰り返す。
「石?」
「いっぱい集めたの。なのにないの・・・。」
「そうかい。石をなくしたか・・・・。」
この前のように同じところで目が覚めた。
とても空虚で悲しい気分だ。なぜこの夢を見るのか自分でもよくわからない。
何を思い出そうとしているのだろうか。
数分して、
さっきお金をしまいこんだ
「なんでもいい!適当に好きな物いっぱい買ってやれば気が晴れるさ!」
そう思って2駅先のショッピングセンターへ向かった。
向かう際中、足も腰も痛くなってきた。
この身体ではいつもより息切れも早い。
歩道を歩いていると後ろから車のクラクションが鳴り響く。
「え!?マジ?やばい!!」
クラクションが鳴り響く。
思い通りに体は動かなかった。痛い膝と腰が邪魔をしたのだ。
ゆっくり・・・ゆっくり・・・
何回もクラクションが鳴り、自分のせいで渋滞ができてしまった。
やっとの思いで歩道に戻ったが、車の中の人の視線が痛く
ひどく惨めで恥ずかしい。
「だって、そんなにすぐに動けないんだもん。この身体じゃ・・・。」
「なんで私がこんな目に合わなきゃいけないの。」
また涙が出そうだったが、
横断歩道を渡りいつも友達と買い物を楽しむ店の前まで来た。
「この姿で入るのは恥ずかしいな。何か被り物でもしてくれば良かったかな。」
それもそのはず。店の中は若者を対象とした物ばかり。当然、店員も客も年寄りは一人もいない。
オロオロと迷っているうちに、喉がかわいてきた。
「そうだ!タピオカミルクティー飲みに行こう!あれだったらババアの姿でも文句言うやつはいないだろう。」
少し気分が盛り上がってきた
いつもどおりの行列ができていたが、
見たくはなかったが、スマホをのぞいてしまった。
やはり
「はあ・・・。でも前にもこんなことあったし、夜まで待ってみよう。」
深いため息をつき終わり顔を上げてみると人ごみの中から見慣れた顔がこちらへ歩いてくるのが見えた。
「ま・・・
膝の痛みのせいでフラフラとした早歩きしかできなかったが、何とか
倒れかかるように
「
「え!?な、なに!?このばあさん!」
「
「なんで、そんな事知ってるの?だって俺と
「だから私が
「え?本当に
「そう!私、
信じられないというような顔をして
どこから見ても年寄りの姿だが、きっと
「まじで!?本当に
どうやら
「
それを気にすることもなく
「本当にババアだな、
「?」
「本当に家族そろってバカばっかりだな。
「!!」
「入れ替わったフリしてなに?もしかしてそれで俺が
「
「いい歳して、孫のご機嫌とりとは、おばあさんも大変ですねぇ。」
「バカ!なんで信じてくれないんだよ!あんたは私の事信じてくれると思ってたのに!!」
心が痛い。泣きながら叫んでもその痛みは強くなるばかり。
「お願い!信じて!私はあんたが信じてくれるって信じてるのに!デートした場所とか2人で買った指輪の銘柄とか全部言えるんだよ!ちゃんと全部覚えてるんだから!!」
「あのなあ。俺は
「なんで!てめぇ!二股かけてたってのかよ!?」
痛い体を我慢して
「うるせぇ!触るんじゃねぇ!汚いんだよ、ババアが!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます