第20話 ゲートボール大会へ
「年寄りの遊びはどうだった?」
学校から帰るなり
「どうって。まあ、やっぱ年寄りの遊びだったよ。くだらない。」
「そうか、ならそのくだらない遊びをお前がやったらさぞ上手くできたんじゃろな?」
「・・・・。」
ゲートボールを甘くみていた
「腕を痛めたんだ。だから明日の試合には行けない。」
「!!?」
「なんで腕なんか痛めちょるん!?ちょっと見せてみろ!」
驚いた
時々、「痛いか?」と質問しながら筋を押さえてきた。
こんなに心配されたのは久しぶりではないだろうか。いや、今まで
毎日どこかしら痛みを抱えながら過ごしていると、高校生の時には気づけなかった労りが有難く感じるものだ。
「まあ、ただの捻挫やけぇ大丈夫やろ。大会に出ろとは言わんけぇ安心しろ。」
「そりゃそうだろうよ!だれがあんな玉遊びに出るかって言うんだよ!私は行きたくて行ってるわけじゃないんだから!」
「代わりに私が出るけぇ。」
「はいはい、そうすればいいだろ。年寄りは年寄り同士・・・・・・って!!」
「出れるわけないだろ!!ババアは今、私の体なんだからさ!私の姿でゲートボールなんかしてたら友達に笑われるだろうが!!やめろ!!」
「人の体傷つけといて何言うちょるん?せっかく仲間が優勝のために頑張っちょるのに!」
『人の事心配してるかと思ったら、自分の体の心配かよ!くそ!』
一晩中言い争いをするわけにもいかず、どっちつかずで次の日になってしまった。
朝早く目覚めた
「な、なにその格好・・・。」
「私たちのチームはこれで大会に出るって決めちょるんよ。」
「や、やめてぇえええ!!!マジで勘弁して!それだけわ!!」
高校生の若い顔には確かにそのジャージ姿は似合ってはいない。
しかし、
「ババア!もうマジでキレた!もしその格好で行きやがったら、この体で全裸になって町内を走り回ってやるぞ!それくらい、私にとったらその格好ださいんだから!!」
「好きにしたらええ。そのかわり私はこの格好で行くけぇね。」
「うぐぐっ・・・。」
「くっそう・・・。」
もう何を言っても無駄だと思った
「あらあ、
会場に着くと
町内の大会だが、それなりにテントも張ってありゼッケンをつけたチームが、がやがやと集まっている。
驚いたことにその中には年寄りどころか子供のチームまでいる!
その隣には大学生くらいのチームまでいる。
「なんだこれ。こんなに人気のゲームだったの?」
その光景を見た
「
「ええ!?
突然の選手交代もあっさりしたものだ。
「
どこかで聞いたような大きな男性の声が自分を呼んできた。
昨日、ゲートボールの練習を見に来ていた
「わあああ!」
「あ、大丈夫っすか?どうしたんすか?その腕。骨折れてるわけじゃないっすよね?」
『いったい、こいつはババアの何なんだ???』
昨日のうちに
なのに年寄りに交じってゲートボール観戦だなんて、いったいどういう仲なのか。
『もしかしてババアの隠し孫!!!?』
『そんなわけないか。』
「もう試合始まるけぇ、座って見ちょれ。」
その隣にドカッと大きな音を立てて
『なんなんだ、こいつは。隣に座るんじゃねぇ。』
「今日は試合に出ないんすね!そりゃそうっすよね!その腕早く治してくださいよ。あ、でも痛いからって動かさないでいると固まっちゃって治りも遅くなりますから。あまり痛まない程度に軽くリハビリする気持ちで動かすといいっすよ!」
「ああ、そうする。」
ただ
それでも
「最近、
「へぇ。」
冷や汗をかきながら
「仕事の方もいつも
「ああ、良かったね。」
『よくしゃべるな、この男。ってか、自分の話しかしてこないし・・・。』
「俺ね、夢ちゃんと叶えますから。あ、何度も言うから聞き飽きたかもしれないっすけど。
え?ババアのおかげで?
その言葉だけは、はっきりと聞こえた。
まさか不整脈!?
いや、違う。
これは自分の心臓ではないようだ。
その目は、ちょっと前どこかで見たことがある。
どうやら
対戦した相手は小学生。
負けたことに泣く子どもまでいるほどだった。
このゲームのどこに汗をかく要素があるのだろうかと
しばらく暗い部屋で過ごしていた
自分はそんなに何かに夢中になることがあっただろうか。
数時間がたち、座るのにも疲れてきた頃、すべての試合が終わった。
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