第15話 後悔しながら走れ
「は?孫?本当にイカれた女だぜ!あんなに優しくしてやったのに、ヤラせもしねぇしよ!」
その顔といったら、殺意や憎しみなどとは言い表せないような恐怖があった。
その気迫に
よろよろと立ち上がると後ろを向いて歩き出した。
その背中にイラついた
そして思い切り、
「ちょ・・・何すんだよ!お前まで!!」
「このバカ男!!!二股かけてたんでしょ!!」
「違うって!俺はお前が本命なんだよ!」
「騙されるわけないでしょ!!!女をバカにするんじゃないわよ!!」
「うわっ!やめろ!痛っ!!」
その争いを
心の中では少々笑いをこらえながら。
すかさず
「悪いことはするもんじゃないね。」
「何がおかしい?」
「ババアのあの蹴り!!」
「ああ、あれか。当然の報いじゃけぇ。」
「すっげぇ!気持ちよかった!!」
「
「え?どこに?」
「
「・・・・。」
「ほら、早く!!」
「もう無理だよ。新幹線は9時半出発なんだ。走っても無理だ。」
「走りもしないで言うな!」
「もういいって。メールで謝るから。」
「メール!メール!お前たち現代人はどこまでバカになっちょるんか!メール1000回送るよりもたった一回会いに来てくれることがどれだけ嬉しいことか、わかってないんじゃけぇ!」
「年寄りの考えを押し付けるなよ!私たちはこれで満足なんだから!!」
「そんなんじゃけぇ、いつまでたっても自分を責めて生きる羽目になるんよ!まだできることはあるんじゃけぇ、全力でやれ!!」
そう言うと
さすが年寄りの気持ちは忘れていないようだ。
『絶対間に合うわけがない。』
タクシーが着いたのは10時半すぎだった。
もう一時間も遅れている。
もしかしたら、新幹線が奇跡的に遅れているかもしれないと思って時刻表を見たが、その様子はない。
人通りの少ない駅がやけに寂しく感じた。
「ほらみろよ。やっぱり無理だったじゃん。来るだけ無駄だった。」
奇跡など起きないのだ。そう思うとやはり後悔するしかなかった。
「はあ、あとで
ため息をつきながら
「そうだな、帰ろう。でもお前は走った。良かったじゃろ?」
「いや、走ってねぇし。タクシーで来たし。」
「そういう屁理屈を聞きたいんじゃないっちゃ!やるだけの事をやったんじゃけぇ落ち込むことはないって意味やけぇ。」
「別に落ち込んでねぇし。」
明日から学校に
あの優しい笑い声も天然な言い返しももうずっと遠くの場所へ行ってしまったのだ。
「
後ろのほうで呼ぶ声がした。
『
そう思って興奮したが、すぐに冷めた。
「もう来ないと思ったじゃーん。やっぱさ、友達の最後くらい来るべきっしょ。」
「
「
「見送ってやれなくて残念だ。」
「え?何言ってんの?まだ見送ってないし。あ、聞いてないの?
え!!!!???
「じゃ、じゃあ
思わず
「え?だれ?
「いいからそんなこと!どうなの!?
「
声の方を振り向くとそこには
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