第28話 いきぬきエッセイ
【Q】
しばらく放っていたこのエッセイを更新して、一体どうしたんですか。
【A】
連載作がようやくクライマックスに差し掛かったのはいいのですが、頭の中がそのことばかりになっていて正直しんどいので、息抜きに来ました。
【Q】
で、なんについて語ろうというのです?
【A】
……ええと、頭の中の創作に割けるスペースは連載作のことばかりで、特にネタはありません。読んだ方のお役に立つようなことは提供できないかと。
【Q】
その辺は今更気にする必要ないんじゃないでしょうかね。今までロクな情報を発信してませんし。
【A】
……。
そんなわけで、このエッセイのみでお付き合いくださっている皆様、お久しぶりです。こんにちは。ピクルズジンジャーでございます。
このエッセイを更新する気になったのは先に挙げた通りです。今までは気晴らしに短編を上げたりしていましたが、それすらできないほど頭の中が連載作にとられてしまって何も考えられないのです。正直エッセイのネタもまともなものが思い浮かばないような状態ですが、頭の中が小説のことでぎゅうぎゅうなのもそれはそれでしんどいので息抜きにまいりました。
ネタがない状態で書くエッセイ……、というわけで単なるおしゃべりをしに来たようなものですが、そんなのでもよろしければお付き合いください。
以下、思いついたテーマをもとに適当に語ってゆきます。
◆朝ドラ
ここ数年、朝ドラを見続けている。
きっかけは「ゲゲゲの女房」がSNSで話題になっていた時に話に入れなかったのがなんとなしに寂しかったことから、一作おいて「おひさま」を試しに視聴したことだった。
「おひさま」は、平凡な主婦である斉藤由貴が魅力的な老婦人・若尾文子から半世紀を聞くという「祖母と孫娘」系の児童文学(『西の魔女が死んだ』とかあの系統)の型を一部踏襲しつつ、少女小説や少女漫画、林芙美子に向田邦子、夏場の婦人雑誌で特集を組まれるような戦争体験にまつわる手記、岩波書店の絵本、「おしん」を思わせる朝ドラ――等々、昭和から平成の女性が親しんできた物語のパッチワークでできたようなところが興味深かった記憶がある(岡田惠和さん脚本には、こうやって物語をメタっぽく扱うところが見られて面白いなとよく思います。「泣くな、はらちゃん」とか今でも好きですね)。
なるほどなぁ、ふーん……という感じで半年完走し、その後に始まった「カーネーション」を見始めところ、始まって一月くらいですっかりドはまりしていた。
そのハマりっぷりったるやとんでもないもので、七時半のBS、八時の本放送、お昼の放送まで三度視聴した上に、土曜日のBSでやっている一週間の放送をまとめた再放送までみるという大概な状況に陥った。
コシノ三姉妹のお母さんの人生をモデルにしたドラマでなぜそこまでドはまりを……? と怪訝に思う方は「カーネーション 朝ドラ」でググるとか、まあそういうことをしてやってください。下手に語りだすと推しジャンルを布教するオタクの気持ち悪いノリとかが出てしまうので遠慮します。とにかくすごいドラマなんですよ。勘助(尾野真千子演じる主人公・糸子の幼馴染。演じる人は最近悪い人役で出演されているところをよく見かける尾上寛之)が二度目に出征してゆくときなんで一日三回みて三回泣いたよ。
そんな中で好きなのは栗山千明演じる奈津(料亭のお嬢様で糸子とは腐れ縁の喧嘩相手という関係。美人でツンツンしていてどうでもいい相手には辛辣だけど初恋の人には一途で純情といういじらしい面もあるというツンデレガール。戦争を挟んで大変な目に遭う)と、糸子の友情でねぇ……。よかったんだよ……。ああよかった……。どのへんがどう良かったを語るとやっぱり気持ち悪くなるのでここでは割愛。
そんなわけでそこから視聴習慣がつき、元号が変わった今日まで大体毎日みている。
傑作もあれば出来がイマイチなものもあり、怪作もあれば印象が薄いものもあり、周囲の評価はもう一つでも個人的には刺さったものがあったり、決まった枠の中で提供される作品を追うのは『少年ジャンプ』の新連載について、あれは残るだあれは打ち切りレースを生き残れないだ等々とああだこうだ語るのに似た面白さがあるように思う。
現在放送中の「なつぞら」もおおむね楽しく見ている。
北海道の酪農少女だった女の子が日本のアニメーション草創期に活躍するアニメーターになるというストーリーで、「北海道にアニメ……? 外国人受けがよさそうな要素を取り込んで魔合体させたようなドラマだなぁ、インバウンド狙いか?」とついつい穿った見方をしてしまいがちだったけれども、この「北海道と酪農」と「アニメ」という一見無理やりな要素をうまく生かしたドラマ作りが巧みで最近うならされ勝ち。勉強させてもらうような心境になっている。
まんまとチキンラーメンを食べてしまったりハセヒロさんを毎日みられるのは良いものだったという思い出を残した「まんぷく」、評価したいポイントだってあるもののお母さんが老後の楽しみのためにため込んでいたへそくりで五平餅屋を始めるのはダメだろうとか、名古屋まで二時間かかる岐阜の田舎町に住んでいるくせに夜の七時八時には大手家電メーカーの名古屋支店から却って幼馴染と地元で飲んでいる律(演じていたのは佐藤健)の勤務形態どんなんだ? といった点が一年たっても消化できない「半分、青い」など直近の朝ドラも含めどの作品も終わってみれば懐かしく愛おしい。
長編を連載するときや、複数の登場人物でわちゃわちゃするような場面を描きたいときなどにも朝ドラを参考にしている時もあったりする。結構勉強になる……と、思う。
◆読むこと
あちこちで語っている通り、カクヨムで書き始めるまでは本を読むことで満足して書くことはSNSの日記やノートに妄想をかき散らす程度のことしかしていなかった。
けれども、創作を始める前に読んでばかりいた日々が役に立っているという実感だけはある。
なので書くことに悩んでいる方には「とにかく楽しみながら、ただただ読むだけの期間を設けてみたらどうでしょう?」と提案したい。
できればweb小説ではなく評価が定まっているもの――名作とか古典とかを読むのがいいです。あと、信頼できる読み巧者さんがすすめるものや、肌のあったブックガイドを手に入れたり本の目録で興味をもったものをかたっぱしから読んでみるとか、そういう読み方ですね。
「ええ~……?」とか言わず、騙されたと思って。評価の定まっているものって、定まるだけの理由があるんですよ。読んでみると面白いし圧倒されたり目を開かれたりするものです。
「文学とかわからないし……」って尻込みすることもないです。そういうもんだと思っとけばいいです(←雑)。なんかよくわからんけどこの言い回しは格好いいなとか、この食事の描写はうまそうだなとか、なんかアホみたいなやつがでてきたなとかそういう箇所が一つでもありさえすればいいのです(ムチャクチャだなあ)。
「ラノベ書きたいのに古典とか読んでも……」となる方もいらっしゃるかもしれませんが、案外役に立ったりするもんですよ?
「書籍代がいくらあっても足らない」という方には、なんのために知る権利が保証され図書館という施設があるのかということを訴えたい。学生さんなどは積極的に利用されるとよろしかろう。
……ただそういう場合、「〇〇という本を図書館で借りて読んだ」の類の発言をSNSでされるのは控えましょう。わざわざ公開したいのなら「〇〇という本を読んだ」だけにした方がよいです。理由はおのおのお考え下さい。
――うーん、酷い内容になった。
でもある程度読んでおくと、書くための基礎体力くらいはつきますよ。出来はどうあれ十万字越えの長編を数作ちゃんと完結できているヤツが言っていることとして少しでもお耳にいれてやっていただけると幸いです。
◆なんとかメーカー
手持無沙汰になったときにやりがちなのが、TwitterでまわってくるPicrewのなんとかメーカーで遊ぶことである。ちょっと前に流行った「強い女メーカー」が有名な、着せ替えの要領でアバターやなんかを作ったりするサービス――という紹介でいいのだろうか。
私の場合もっぱら自作のキャラクターのビジュアルイメージを固めるのに使っている。
遊びとして単純に楽しいのもあるが、イラストがまったく描けない自分でも可愛いキャラクターが作れるのが便利かつ嬉しい。イメージ通りのキャラクターが作れたりするとかなりテンションがあがる。
そんなわけで調子にのってキャラクターのイメージ図を作り続けることがよくある。
そんな遊びではあるけれど、これがわりと創作上でも役に立つことがあるのだった。
特に細かい性格を決めてないんだよなぁ……というキャラクターに、ぴったりしたビジュアルが用意できると、その直後に大体の性格やストーリー上におけるポジションがパっと浮かんだりするのだ。
実を言うと連載作における唯一の少年は、話の必要上仕方ないから出すという非常に雑な扱いを敷いており、彼のことをどう動かすのかが自分の中で課題の一つだった。
が、あるメーカーで困り顔の男の子を作った途端にそれまで放置していた彼のイメージや役割、性格や気質がパパっと浮かび、そこから劇的にある程度動かしやすいキャラクターへと変貌をとげてくれたのだった。
――こういう経験は初めてだったけれど、イマジネーションがバチバチっとはまる瞬間はなかなかに気持ちがよい。
あと、何気ないあそびでも創作上の悩みの突破口になったりするものなんだなぁと感心したのだった。
――以上。
そんなわけで思いついたことをたらたらと語ってみました。
テレビドラマや本を読むことについては改めて語ってみたい気持ちがありつつも、とりあえずは今はこれくらいで。
それでは連載作をちゃんとゴールへ運ぶべく、創作の方へと戻ることにいたします。
また何か語りたくなったときまで暫しの間、さようなら、です。
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