第7話 魔法少女ばっかり書いてる。
【Q】
どうして魔法少女ものをたくさん書いてるんですか?
【A】
好きだから。
【Q】
もうちょっと詳しく……。
【A】
世の中には、ハイファンタジーやSFばかり書く方、ミステリーやホラーが専門の方、異性間や同性間の恋愛をテーマにたくさんの作品を発表される方など、拘るテーマにそった作品を専門的に発表される方がいらっしゃいますね。
私の場合それが魔法少女だったわけです。
もし魔法少女小説専門のレーベルでもあれば本気でプロを目指していたことと思います。
……ちょっとサムい感じの導入で、おそらく私の書いたものの一覧を眺めた方が抱くのではないかと思われる「なんでコイツの書くもののほとんどが魔法少女モノなの? キモっ」という疑問に答えてみました。
いや本当にただ好きなんですよ、魔法少女モノ……。
幼少期がちょうど葦プロやぴえろによる新感覚の魔法少女アニメが制作されたころであり(おおよその年齢がバレますね)、そういった諸作品に心を奪われて「あたいも大きくなったらああいうのを作りてえ!」となったのをこの期に及んで尾を引いているせいであると思われます。
(ついでではありますが、「あたいもあんな風になりてえ!」という方向に夢が向かわなかったのは、「魔法の力を授かる女の子はオシャレタウンに住んでるプリティーガールに限定されている。山と田んぼに囲まれ方言がとびかう土地に育ったどんくさい女児のところにそういうチャンスが訪れることはない」と小さいながらに現実を見ていたせいであろうかと)。
ともあれ、通常なら小学校の高学年になればこういった作品とは円満に卒業するものだというのに、卒業するどころかいい大人になってもここまでこだわり続けることになるとは……。幼かったころの自分も想像だにしていなかったことでしょう。なんかダメな大人になってごめんな、小さいころの私。
というわけで、カクヨムに登録してすぐに書き始めた小説には、小さい時から抱いていた魔法少女ものの愛と憧れ等を臆面もなくぶっこみました。
初めてなんだからとりあえず自分が本当に書きたいものを書くべきでしょう。書かないでどうする? という意気込みのみで書いたのがこちら、『魔法少女サマーキャンプ』です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883410187
魔法少女アニメが好きな児童文学系の魔女の子が世界観の壁を飛び越えてオーディションを受けに来た間のことを日記形式で報告するというコメディ小説です。
作品についてはこちらにくわしいです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884183980/episodes/1177354054884184046
このあとがきにもある通り、小さい頃から魔女っ子のアニメの類が好きだったン十年に及ぶ執念と妄想をつぎ込んだ作品となっております。
書きたいことを書きたいようにやる、という方針ゆえに魔法少女要素の他に、少女小説(注1)に日記形式(注2)という好きな要素をぶっこみました。
少女小説というジャンル名称、今日では「少女向けライトノベルレーベルから出ている小説」という意味合いもふくまれていますが、やりたかったのは「オンナコドモが読むような甘ったるくてちゃちい小説……とよく読まない人からはそんな色眼鏡で見られている小説」の方です。寄宿舎で生活したりお菓子を食べたりドレスに一喜一憂したり親友と意地悪な子達に対抗したり……というような、ああいうの。
微妙にメタな要素もあるお話ですが、書いたものとしてはやっぱり少女小説のつもりでいます。とはいえ、男性の方はお断りというわけではありませんので、大きいおともだち諸兄も良かったら読んでやってください。ハッピーエンドでラストは爽やかです。色んな女の子二人組が出て来るよ! 男子はちょっとしか出てこないよ! 是非読んでね。
……と、このように隙あらば宣伝をねじこみたいくらい今でも思い入れある作品ですが、まあ、今は置いといて。
そんなわけで女児アニメ系魔法少女から卒業できないアレな大人になり果てましたが、そうはいっても成長してゆくにつれて魔法少女モノアニメについて色々疑問に思うところもでてくるわけです。
どうして魔法の力を授かる子は飲食店関係のお店をやってる家の子が多いのか、とか、ちょっとおバカな子が選ばれがちなのはなぜか、とか、家族仲が良好な子しか選ばれないのはどうして? とか、変身シーンで一瞬裸になるのは何故? とか、変身する職業に理系職が少ないのはなんで? 愛とか思いやりでフワっと物事が解決しちゃっていいの? とか、なんで赤ん坊育てる展開やりがちなの? とか、まあそういったことですね。
この種の疑問は魔法少女アニメが心から大好きだったかつての女児なら、一度や二度は抱いたことがあるのではないでしょうか(注3)。
成長するにつれて、かつて自分が楽しんでみていたアニメが必ずしも女児のみに向けて作られていたわけでは無いことや、知らなかっただけで女児に向けてではなく大きなお兄さん専用に向けて作られた諸作品なんてものも分かってきて、より考えねばならぬ場面が増えてゆくわけです。
果たして魔法少女って何、誰のもの……?
女の子のものではないの? と。
少々複雑な心境になりつつも、でも、そういったことを考えるのが楽しいんですよね。
深夜アニメが全盛になってくると、一見可愛い作品に見えて実はエグイなど従来のイメージを逆手にとった作品が作られたり、反対に少女の友情や成長に注力した正統派の作風のものがつくられたり、バトルやエロに特化したものが作られたり、よりバリエーションが富んできたように思われます。90年代から見られたことですが、人気シリーズのスピンオフ作品で魔法少女モノが作られる現象も不思議と言えば不思議ですし。
基本的に魔法少女は女児の味方であってほしい派閥なので、あまりに陰惨なものとかお色気方面にふり切れている作品に接すると「うーん……」となるのですが、それとは別に「変身したり不思議な力を授かった女の子」というモチーフにこれだけ色んなバリエーションの作品が作られるのは面白いことだと思うのです。
面白いので自分でもいろんなパターンの魔法少女ものを作ってみたくなるわけです。正統派なものから邪道なものまで。
そんなわけで、ちょっと邪道よりといいますか、やや年齢が高い層に向けて作られた魔法少女諸作品へのアンサーのつもりで書いていたのがこちら、『マリア・ガーネットとマルガリタ・アメジスト、天国を奪い取る。』になります。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884961908
『魔法少女サマーキャンプ』が、ほぼ純粋な憧れと愛情のみを詰め込んだ作品だとしたら、こちらは「なんか変じゃね? おかしくね?」という疑問を土台にした作品になります。前者がポジなら後者はネガです。ネガすぎて「本当にコイツ魔法少女好きなのかな?」と思われてるんじゃないかと勝手に心配してますが、好きなんですよ、本当に……。
そんなわけで雰囲気はまるっきり反対な作品ですが、どちらも「魔法少女は女児ない女児の魂(※肉体の性別や年齢は問わない)を持つ人の味方であってほしい」という気持ちがベースになっていることは共通しております。
女児でもないし女児の魂があるのかどうか疑わしい……という方も、お暇な時にでも読んでくだされば嬉しいです。
そんなわけで、どさくさにまぎれた宣伝が鬱陶しい回となってしまいましたが、私が隙あらば魔法少女を出してしまいがちなことを不思議に思ったり不気味に感じていた方への疑問の解消になればなと思います。
なお、魔法少女系作品が好きではあっても見てない作品も結構あります。マニア的な知識を問われたり「あの作品の解釈はどうか?」といった論を持ちかけられると大いに困ってしまいますのでその辺は許していただけましたらと思います。
注1……
ダイアナ・ウィン・ジョーンズのある小説に、強い魔法の力があるが故に女神として崇められてるかわりに閉鎖的な環境に閉じ込められてる女の子が登場し、主人公の男の子が差し入れた寄宿舎ものの少女小説シリーズに大感激した上に「私も寄宿学校に行きたい! こういう生活したいの! 夜にお菓子を食べたり友達と嫌いな先輩の悪口言ったりしたいの!」というようなことを吠えるシーンがあったように記憶していますが、あれを読んだ時には「心の友よ!」というテンションになりました。
注2……
『魔法少女サマーキャンプ』にて日記形式を選択したのは、私が書簡体小説や日記形式が好きだったということと、「日記にすればストーリーのカット割りがスピーディーになるのでは」という計算がややありました(ノートにお話を書いていたころ、主人公の視点にカメラを据える方式だと描写がくどくなって展開がトロくなることが悩みだったのです)。
効果が得られてるかどうかは不明ですが、主人公の視点にカメラを据える方式を採用した『マリア・ガーネットとマルガリタ・アメジスト、天国を奪い取る。』は文字数が膨らんで大変だったので、語り方になんらかの工夫をした方が負担が少なく書きやすいですね。
注3……
斎藤美奈子さんによる『紅一点論』という評論があります。どうも批判されやすい本の様ですが、私は「アニメ好きだけど、わかるわかる」という派閥でした。後にこの本がアニメや特撮ファンの人から嫌われがちだと知って驚いた覚えがあります。
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