第6話 自分で書かなければしょうがない
【Q】
読まれない小説を書くのはどうしてですか。
【A】
自分の本当に読みたいものは自分しか書いてくれないからです。
……見間違いでなければ、本エッセイが一瞬注目の作品にピックアップされていたのを目にしました。びっくりしました。
おかげさまで自分で書いたもののなかでは一番注目を集める作品となっております。ありがとうございます。
興味をもっていただいたのも、このタイトルのお陰ではないかと分析しております。同じような悩みと開き直りの日々を過ごしていらっしゃる方が多いということでしょうか……。お互い精進いたしましょう。
あと自分からこういうことを言うのはヤラシイのですが、我ながら芯を食ったいいタイトルだったなあとちょっと自惚れをおります。
ともあれ、読まれない小説を機嫌よく書くことに関しては「開きなおるしかない」と第一話冒頭で解答したので、あとはもうだらだらとおしゃべりとなかなか読まれない自作の宣伝でもする予定でしたが、予想外に注目していただいたことですのでもう少しそれらしきことを考えてみることにいたします。
お話のようなものを書き始めたのが中学生の頃で、そこから2017年まで長い間中断期間があったと既に述べた通りですが、中断期間でも頭の中で物語を考えることは気を抜いたら勝手にやっていました。
中断期間は人生で一番本を読んでいた時期でもありました。
本を読むコツというものを掴んで、それまで自分が楽しめなかった難しげな小説や古い小説などに挑戦していた時期です。
様々な小説や小説以外の本を読んでは目から鱗をボロボロ落とし、「もう自分なんて何も書く必要はない。世の中にはすごい人とすごい作品や本が山のようにある。それを読む方がずっといい」となっておりました。
それでも100パーセントでしっくり自分の心にぴったりハマる作品というのはないわけです。限りなく100に近い作品はたくさんあるけれど、ぴったり100な作品というのはない。
99.9まではいっても100まではいかない。この100に満たない隙間が気になる。
小説に限らず、漫画でも映画やドラマでも同様でした。すごい作品を作る方はたくさんいらっしゃるわけですが、100ではない。
この隙間が「こうだったらいいなあ」という願望を生み、そこを核にして物語を作り出したりするわけです。
そしてやがて「こういうのをプロの人が作ってくれないかなあ」と念を送るようになります。……当たり前ですが、プロの人たちは超能力者でもなんでもないわけで素人が頭の中で考えてるストーリーの念を受け取ってくれるわけがありません。
なので妄想は「自分が原案を作るから文章とか漫画にしてくれるスタッフがいてくれたらなあ」とか非常にムシのいい方向に発展するわけですが、行動力がないことに定評がある人間ですので妄想は妄想で終わります。
こうまで来たらいい加減自分で作れという話になりますが、2017年になるまでそれはしませんでした。
やっぱり自分は下手だし、創作なんてしても無意味だと諦めていたからです。
しかしようやく、自分の頭の中にある話は自分で出すしかないという当たり前に気づいたわけです。
きっかけになった何かがあったわけではなく、webで思い思いの作品を発表されていらっしゃる方を見てちょっとずつそんな風な意識に変わっていったような塩梅です。
下手だろうが無意味だろうが、自分が頭の中にある作品は自分で出力するしかない。
それをしなければ、自分が本当に見たいもの読みたいものはこの世には無いとどこかしっくりしない思いを抱えて生きるだけだ……と、やや大袈裟に言うとそんな境地になり、おっかなびっくりで本格的に小説を書き始めたのでした。
思うに、すごく好きなタイプの作品に接している時には100に近い満足感を得ているんですけど、しばらく終わったら「自分ならこうしたい」「あそこがもっとああなら」という気持ちが芽生えてくるのですよね。そこから少しずつ隙間が生まれてゆく。
もちろん作品の側に瑕があるわけではないのです。作品に接した時に、受け取った心の側が勝手に形を変えるのですよ。
そこにうまれる隙間は結局自分しか埋められないのです。
ちょっと抽象的な話になってしまいました。
私は二次創作はしないのですが、物語を思いつく時のクセはかなり二次創作寄りなように思います。
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