第27話 昔書きたかった小説について

【Q】

 最近の近況ノートでは「男子が書けない、書けない」とボヤキ気味ですね。

 昔から女の子の活躍する話ばかり考えていたのですか?


【A】

 そんなことありません。

 実は昔は男子がメインで活躍する少年漫画みたいな退魔もの小説の構想を練っていました。女子キャラクターも多く登場させていましたが、メインは少年でしたね。


【Q】

 じゃあどうして今は女子が活躍する話ばかり書くようになったのですか?


【A】

 さぁ……、なんででしょう?

 もともと女子キャラクターが好きだった子供のころに嗜好をオープンに出せるようになったことや、少女期の自分が読みたかったであろうものを書きたいような気持に傾いていったのが大きいのではないかと推測しております。



 

 ここ最近、なけなしの体力をかき集めて連載作を更新することに注力していたピクルズジンジャーです。

 これを書いている2019年の4月の体調はあまりすぐれず、とにかく疲労感が凄まじいいので趣味に割くことのできる時間は本を読むか先に挙げた通り連載作の続きを更新することを第一にしておりました。そのせいで、エッセイのほとんどはお休みしております。


 「自分の力量も考えずややこしい展開を仕込んだ馬鹿はどこのどいつだ⁉」と自分で自分をどつきまわしたくなるようなムチャクチャな現連載さくもようやくクライマックス手前までこぎつけることができました(そんな小説はこちらです。宣伝失礼します。https://kakuyomu.jp/works/1177354054885611315)。


 予定ではこれからの展開も大変なことになるので、以下の展開を詰めながらちょっと一休みを兼ねて久々にエッセイを更新する気になりました。


 一休みなのでまったくくだらない内容です。気楽にお付き合いください。



 昔々、もともと日がな一日ぼんやりしてとりとめのない妄想にふけるような子供だったピクルズさんは頭に浮かんだ適当なストーリーをノートに書き溜めるような、小説や漫画やアニメにうつつを抜かすタイプの子供ならだれもが通りそうなそういうことをしっかりやっておりました。

 いつかはしっかりした小説を書こうという目標だけはあったため、設定だけは詳しすぎるほど詳しく固めたり、キャラクターを無制限に増やして頭の中ではメインキャラではなく敵サイドのストーリーで盛り上がったり、特にお気に入りのキャラクターの活躍する場面だけより抜いて書いたり、しかし肝心の小説の執筆に挑戦しようとしたら途中で飽きて放り捨てたり――……、まあそういった非常に「あるある」といった日々活動を繰り広げていたわけです。恥ずかしいですね。


 その時に書いていたのが、少年漫画っぽい退魔系の伝奇バトルアクションものですね。異能に特化する前のサイキックアクションもののような。

 なんでそういったジャンルの小説を書くつもりでいたかというと、ただ単にそういったタイプの諸作品が好きだったからですね。陰陽師が九字を切ったり高野山の坊主が真言唱えたりするタイプの妖怪退治したりするオカルト系の作品が……。あと、その当時は少年ジャンプがとにかく強い時代だったので連載されていたとあるバトル漫画に影響を受けていたのも大きいと思われます。


 恥ずかしい、ああ恥ずかしい。まさに黒歴史ですね。


 それでもいつか本当に小説は書きたい気持ちはあったので、民俗学系の本を読んだり学研のブックスエソテリカシリーズ(※一冊千円なので十代でもまだ買いやすかった宗教に関する情報をコンパクトにまとめた本のシリーズ。伝奇ものの小説の参考文献にあがったことも多かった。「懐かしい!」って方も多いことでしょう)を集めては親に心配されたり、勉強だけはしておりました。


 しかしまあ、そのジャンルは自主的に撤退することになり、頭の中でストーリーを考えることは続けてはいたものの書くことは諦めるようになっておりました。

 以下、その理由を箇条書きで。


① 陰陽師だのオカルト要素を出したければどうしてもホラー風味は不可欠になるが、それを書く才能が全くなかった。

 すでにそのジャンルは飽和気味だったので、今更「この妖気……! まさかヤツが復活したのか⁉」みたいなのは真面目に書けないだろうなぁ……。書きながら噴いちゃいそうだ、とか考えるようになってしまった。


② 民俗学に裏打ちされた妖怪ものを書こうとして、小さい頃から水木しげると柳田國男読んでたらしい京極夏彦に勝てるか! とか、妖怪バトル書くとして「うしおととら」のように魂震わせるストーリー書けるのかとか、陰陽師やって夢枕獏に土をつけられるのかとか考えて、白旗を掲げるしかなくなった。


③ 二千年代に入って進化した異能バトルものがちょっと好みからズレていた。面白いことは面白いのだけれど、もう結構な大人になっていたので熟語にカタカナのルビ降った技名を叫ぶ少年少女のバトルを構想する勇気が摩耗した。

 あとまあ、今更異能バトルやっても冨樫義弘に勝てるかよ、みたいな気持ちもあった。荒木飛呂彦に関しては私はジョジョを未履修だけどやっぱ勝てるわけないだろ、読まんでもわかる。


④ 単に好きな本の嗜好が変わった。実は伝奇やホラーやファンタジーよりマジックリアリズムが好きだなと気づいたり、なんにも不思議なことがおきない日常に密着したジャンルや、なんならストーリーなんてあってなきがごときな文学系の作品が好きになった。


⑤ 読む小説のジャンルが広がったおかげで、小説を書くということはとにかく大変だし、素人が思い付きで書こうと思って簡単に書き上げられるものじゃない。というか、自分で書くより読んだ方が圧倒的に面白い。世の中には面白い小説がたくさんある。そっちを読むのが先決だという気持ちに傾いた。



 ――ざっと思いつく限り、そんな理由で少年がメインで活躍する退魔系バトルもの小説を書くことへの熱意を失ってしまいました。

 それでも気に入ったキャラクターだけはちょこちょこ動かしてルーズリーフに書いてみるようなことはしていたんですけどね(その名残で今でもお気に入りのキャラクターのことはしつこく記憶されています。恥ずかしい)。


 そんな日々を過ごすうちに、何気なくニチアサなどの女児アニメを目にする機会が増えたために元々好きだった魔女っ子好きの血が騒ぎだし、その結果少年漫画に出会う前に書きたかった魔女っ子もの小説を書きたくなってストーリーを構想するようになり、ちょうどそのころは自分の中で新旧国内外の少女小説を読むブームが到来していたこともあって「わたしも少女小説を書きたい!」という気持ちが高まったり、少女小説ブームから発展して百合ものを本格的に読みだして子供時代から好きだった女子ふたりものに対する偏愛を自覚したり……といった諸要素が固まった結果、なんやかんやあって気が付けばカクヨムで魔女の子が魔法少女番組の出演者を決めるオーディションに参加するという小説を書き始めておりましたとさ(再び宣伝失礼します。こんな小説です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883410187)。


 そんな経過をたどって今、主に魔法少女と根性の悪い女子と百合をメインで活動しております。

 今となっては昔、自分が少年主人公を書いていたことが信じられないような有様です。本当にもう、男子キャラクターなんてどうやって動かせば分からなくてい試行錯誤ばかりしているというのに。



 振り返ってみればとにかく恥ずかしい、退魔ものバトル小説構想期間ですが、しかしその時思いっきり呪術やら民俗学系オカルトやらにかぶれていたせいで、その時にため込んでいた知識が思わぬところで役に立つこともあります。主に作品世界にある種のハッタリをつけたりといったその程度のことではありますが、厨二趣味時代の置き土産としては十分なような気がします。

 


 しかし、退魔ものへの情熱を失った時に女児時代に好きだった魔女っ子ものへの愛が蘇ったりしたくらいですので、今のブームが過ぎれば陰陽師だとか密教僧だとかが活躍する妖怪退治もの伝奇アクション小説を書きたくなる日がくるかもしれません……いや、こないかも。今更このジャンルはやっぱりちょっと陽の目をみないような。


 つばさ文庫のような児童文庫あたりでは今でもよく見かける、こどもたちがチームを組んで怪現象に立ち向かう霊能探偵団みたいなものなら一度書いてみたいんですけどね。でもやっぱりホラー描写がネックになりそうです。

 

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