第41話 恋のライバル? (11)

(本文)


「えっ? フレイヤ様の事ですか?」


「うむ、そうじゃ、だからお主にも関係のある事と思うてな? 儂も最初に声を掛けたのじゃ」


「そ、そうだったのですか……それは知りませんでした……たかが僕みたいな聖霊風情に迄、気を使って頂いて。主神さま本当にありがとうございます……で、フレイヤ様に何か?」


「まあ、話ば長くなるからの、取り敢えずは手短に話をするが。フレイヤがこのアースガルズからいなくているのは、お主も承知だとは思うが?」

「はっ、はい、知っています……と、いうか、僕はもう、かなりの長い年月の間彼女を探している最中なので御座います……でも全く持って何処にいるのか、検討も付かない状態で……もしも、何か手掛かりでも知っているのであれば、教えて頂けると本当に助かります、主神さま……」


 オッタルは、先程迄の主神オーディンに対する気だるげな素振りから、急に態度一変したよ。

 だってオッタル自身が先程から、主神オーディンとの話をとっとと切り上げて。自分自身の為に行いたい行為は。実は愛するフレイヤの探索なのである。

 だから顔色を変えてオッタルは、主神オーディンに嘆願した──彼女の行方を知っているのなら、教えて欲しいと嘆願したのだ……。


 暴れん坊イノシンことオッタルの、悲観している様を見ていた主神オーディンは、同情する訳でもなく。

 それどろか、彼自身の口の端を吊り上げて、薄ら笑いを浮かべた。


「そ、そうか……それは、儂も知らなんだは……ではオッタル、丁度良いタイミングであった訳じゃな?」

「はっ、はい、主神さま……先程も述べましたけど、出来ればフレイヤ様の居場所を教えて頂けると、本当に助かります──それに一生恩にもきます……」

(フフフ……馬鹿なオッタルよ。儂はお前がフレイヤを血相を代えて探しているのは、とうの昔に報告を得ているのだ。だからこそ、お主を最初に呼んだのだから)



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