第4話 序章(4)

(本文)


「良いですよ、貴方! そんな事で許していただけるなら、夫婦ですのでお安い御用です。それにわたくしも久しいですから、貴方可愛がってくださいね」


 彼女から返ってきた言葉がこれだよ!


 涙を片手で拭きながら、とても嬉しそうに。潤んだ瞳でしっかりと、俺の方を向いている。


 でもその何とも言いようのない、彼女の笑顔を見ていると。

 俺思わずドキッとした──それに少しばかりだけど、彼女にときめきもしたのだ。

 実際容姿だけなら彼女。この世の者とも思えない程の美しい女性だから。


 それに彼女、何故だか良くは解らないけど。俺の先程、逃げた女の代わりに、責任を取れと言った言葉。まあ、あっさりとオーケーして頂いた。


 だから俺は、彼女を好きにしても良いらしい?


 だから俺は何故?


 彼女はそんなにも簡単に、あれをオッケーだと。返事を出せる訳なのと思うじゃない?


 だから俺、返って思わず悩んでしまったよ。

 こんなにも軽いノリの俺でも。


 それに良くは解らないけれど⁉


 俺と夫婦なのだと彼女は言っている。


 だって先程の事を思い出して、翌々考えてごらん?

 俺の事をと、呼んでいただろう?


 それに彼女の、俺の事をと呼ぶ言葉が。俺自身の脳を刺激する──とても甘い妖艶な声なんだ。


 だから俺は彼女にと、呼ばれる度に脳がくらくらと、しそうなんだよ。


 マジで本当に……。


 それにさぁ、初めの頃は、余り気にもしていなかった、彼女の俺に対しての甘い呼びかただけど。

 良く考えると、女性が甘い声で、男性を貴方と言った呼び方をするのは、彼氏か夫に対しての呼び方の会話だと思う。


 でも俺は、彼女と夫婦だと言われても、流石に悩むよ。


 だって俺は、まだまだ、花も恥じらう十八歳だから。


 でもね俺、取り敢えずは、空へと羽ばたいて飛ぶのを一度は辞めてみるよ。

 その後は彼女ともう一度ね、ゆるりと話をしてみようと思う。

 だから取り敢えずは下に降りた──後は、彼女にも色々と聞きたいし。俺にも良く分かるように、説明の方もしてもらいたいから。


〈ガシッ──!〉


〈ガバッ──!〉


「貴方〜!」

「うぎゃ〜!」


 降りるともう駄目だね。

 彼女直ぐに抱き付いてきたよ。それも力強く──。


 それに今の俺は、背丈がね、大きくなってるのだ。前と違って。


 どうも大きくなった時に、服の方も破れたみたい?


 まあ、そんな訳だから、お陰で俺は、只今真っ裸なんだ。


 だから彼女が俺に抱き付くと、当たるのよ──大事な俺のアレが。


 特に今みたいに、余り強く抱き付かれると、本当に痛いのだ。棒も玉の方も……。





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