第44話 恋のライバル? (14)

(本文)


「しかしも、クソもないわ、オッタル! ──フレイヤ自身は個人一人の所有物ではないのだ! 全部の世界併せての、雄達の性の象徴であり! 神々全体の性の為の玩具なのだー! だからこのアースガルズの目の届く位置で好き勝手にして、異性、同性併せて遊び呆けるのは構わんが。儂達神々の目に触れないようにして逃げて。行動する事は許さん──それに、オッタルおまえ自身も、余りくだらぬ事を考えていると、精霊などではなく本当のイノシシに格下げして、ドワーフにでも玩具として与えてしまうぞ──それでもいいのか?」


「えっ、いや、申し訳ございません……主神オーディンさま、本当に申し訳ございません……」


 前に出て凛としながら、主神に意見を述べていたオッタルではあるが。オーディンの憤怒した、落雷のような大きな声を聞き──オッタル自身は身震いをしながら後ずさりを始めた。このままでは愛するフレイヤを探す所ではなくて、オッタル自身の身が危なくなる。それぐらい本当に憤怒したときの主神オーディンの力は絶対なのだよ。


 と、まあ、そんなお怒りモードの主神オーディンをオッタルは、震えながら見上げていると──。


「まあ、今の儂の言葉で、女神フレイヤがどういう者なのかは貴様自身にも分かったとは思うが?」

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