第41話 選択肢
そうして本の構成イメージがだいたい固まったところで
「それと、これは仮にラノベで出した際の条件ですが・・・」
という前置きで示されたのは文庫本のケースで初版部数と印税率でした。
最初の本ということで低めに設定された印税率はともかく「ずいぶんと強気の数字を出すのだな」と文庫で販売する際の初版部数の多さに驚きました。
その数字からは、あらためてビジネスとしてのなろう系書籍の強さを感じるとと共に、各本屋に多くの棚を持っている、あるいは強い営業さんを抱えているという大手企業ならではの販売力の強さを感じたものです。
「これがビジネス書ではどうなりますか」と自分は尋ねると「部数は大分落ちるでしょうね」という答えが返ってきます。
重版がかかる、長期に渡って売れる、といった期待、つまり不確定要素を除き最初の印税だけで金銭的な価値を聞き取った順に並べると
1.文庫本のラノベ
2.四六判のラノベ
3.四六判のビジネス書
ということになります。結果的に、自分は金銭的には一番損な選択肢を取ったのかもしれません。
ですが自分の脳裏にはどうしても、アニメイトや書店のラノベコーナーの激戦地ぶりが目に浮かび、同時に自問せずにはいられませんでした。
果たして、あの物量戦の文庫本の戦場や、飛び抜けた個性を競い合う書店のラノベコーナーで自分の著作が目立つことは可能だろうか、と。
多くの素人作家さんがそうであるように、最初の想定読者は自分です。
ターゲット決めてその通り書けるプロの作家さんはまた違うのでしょうが、まずは素人作家の場合は、自分という読者を満足させないと、作品そのものが書けないのです。
同じことを販売戦略にも応用して考えます。
果たして自分はラノベコーナーに置かれた自著を手に取るだろうか、と。
脳内で自分の行動をイメージしてみると、そもそもラノベコーナーに入っていってくれません。
なろう書籍のコーナーも、もし自分がなろうのことを知らなければ近づかないかもしれません。
多くの人の手にとってもらうには、どうしたらいいのだろう。
仮に売れなかったとしても、もっとも納得の行く選択肢はどれだろうか。
正直なところ、ずいぶんと悩みました。
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