第35話 ラノベコーナー探訪

「これがアニメイトか・・・」


書籍化の打診をしてくれた出版社と対等の知識で議論をするために、ラノベの販売現場を回る。

そう計画を立てたものの、いざ現場まで来ると多少は怯む気持ちになります。


思えばアニメイトには高校時代に友人に連れられて2度ほど行ったきりですし、とらのあな、メロンブックスといった名前は聞いたこともありませんでした。

秋葉原にはときたまイベント等で行くことはありますが、駅からまっすぐUDXの方に向かってしまいますので、主要な通りのアニメ関係の店はほとんど目にすること無く素通りしてきたのです。


そしていざ、その入口を潜ろうと思ったのですが。


「ま、まあ、まずは一般書店のラノベコーナーからチェックしようかな・・・」


入口付近に貼られた大量のポスターの数々に威圧されて、クルリと向きを変え撤退を余儀なくされました。

スーツということもありましたし、周囲の人達が若い人達ばかりでアウェー感が強かったのです。


気を取り直して丸善や紀伊国屋ーーー自分にとってのホームですーーーのラノベコーナーを観察してみることにします。

そこで初めて知ったのですが、ラノベコーナーと一口に言ってもかなり分割されているのですね。


男性向けと女性向けで背表紙の色からして違うのは漫画と同じですが、四六判と文庫でも置き場所がまるで違います。その中でWeb小説と題されて、なろう系小説に1つの棚が割かれているのには感動しました。


愉快に思ったのが、四六判のなろう系のコーナー様々なレーベルが一箇所に集められているだけあって、統一感というのがまるでないのですね。棚の色がまるで違いました。

それをどうとるかは人によって違うでしょうが、自分は、ある種の同人活動のような自由な気風を感じました。


と、同時に「この中でラノベとして競争するのはしんどいな・・・」と思ったのも事実です。

編集の方は目立つ表紙にすれば大丈夫、と仰られていましたが、個性の強いなろう書籍の棚で目立つのは尋常の手段では難しそうでした。


一方で、文庫サイズのラノベは、一言で言えば物量戦の世界でした。

背表紙の色まできちんと規格化されたレーベルの中で目立つには、棚の幅で多くを占めることが必要です。つまり、続刊であり、物理的な量です。

それくらい、文庫サイズのラノベコーナーにずらりと並ぶ大量のラノベは印象的でした。


表紙絵を見ても、ちょっと自分の作風には合わないものが多いように感じ「ここで勝負するのはなしだな」という思いを強くしたのです。

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