第30話 流通の現状を整理しています

編集者の方の上げた本のチェーンをほとんど知らない。

これもまた、自分の事前リサーチ不足としか言いようがありません。


ビジネス書の場合、大体は東京の丸善や新宿紀伊国屋などで購入することが多かったもので、そうしたライトノベルの流通の現場感覚がまるでないのです。


「そうしたアニメイトとかの書店で、いわゆるビジネス書というのは置いてあるものでしょうか?」

「いや、ないと思います」


即座に否定されました。

自分としては精一杯、頭を使って聞いたつもりの質問でしたが、まるでコントです。


ぼんやりと理解できたのは、アニメイトなどのライトノベルに強い書店は漫画やアニメなどのマルチメディア商材を展開していることであり、出版社がなろうに求めているの売り場というのは、こういう書店のことなのだろう、ということでした。


「例えば御社の場合、所謂一般書店に売り場の棚というのを確保できるのでしょうか」


今度は逆の側からの質問です。


「一般の書店でもWeb小説の専用棚、というものを置くところが増えてきましたから、そこに置くことはできます」


なるほど、と一応はうなずける回答でした。ですが、やはり自分の目で確かめるまでは保留です。


ここまで聞き取った、この出版社の流通に関する情報を整理すると

・アニメイトなどのライトノベルに強いチェーン店には実績がある、と信じても良さそうだ。

・ビジネス書はライトベルに強いチェーンに置けない。

・一般書店ではWeb小説の棚を持っているらしい。


悩ましいところです。

総合的に言って、ビジネス書としての流通に強いようには見えません。

しかし、ここまでのやり取りで私はこの編集の方に、かなり好感を持っていました。


それに、右も左もわからない素人の私に最初に声をかけてくれて、業界のことをいろいろと教えてくれた人でもあります。


もう少しこの出版社で何かできることがないか、話し合いを続けることにしました。

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