7章:2社目の打ち合わせ

第37話 打ち合わせの準備

とりあえず丸善と紀伊国屋のラノベコーナーととアニメイトを視察したことで、ある程度はなろう書籍の販売の現場を理解できた気になりました。


実は後で知ったのですが、アニメイト、とらのあな、メロンブックスなどでチェーンの個性があるそうですね。当時の私はそんなこととは知らず、また時間と気力も不足していたので、視察は切り上げてしまいました。


そうして視察が済んだら、2人目の編集者に合う前に自分なりの戦略を立てて、打ち合わせの準備もしなければなりません。


前回の反省事項も踏まえて、メモ程度ですが自分なりに打ち合わせのアジェンダを作ることにしました。

アジェンダというのは、会議の時間割のようなものです。

先方も多忙な身ですから、基本的な質問事項については確認だけで済むよう、できれば予めメールなどを通じて投げておき、当日は顔を合わせないと話しにくいことや議論だけにしたい、と思ったからです。


まずは、質問事項を3つに分類することにしました。


1つ目は減らすべき質問。分類としては、1人めの編集者の方との打ち合わせで理解できたので、2人めの方には質問する必要がない質問になります。

具体的には出版業界全体が、なろう書籍をどう見ているか、などの質問にあたります。


2つ目は確認する質問。分類としては、1人めの編集者に質問はしたけれども、別の視点からも確認したいので敢えて同じ種類の質問をぶつけるものです。

具体的には異世界コンサルティング株式会社の売り出し方や、その改善点などにあたります。


3つ目は追加する質問。前回の打ち合わせでは思いつかなかった種類の質問です。

具体的には編集の方の嗜好や実績、出版社の方針などです。


1つ目の質問を減らす、というのは相手が多忙で時間の限られた打ち合わせでは非常に重要なことです。

事前にメールで質問事項を送ったり、レジメを用意したりするのも、全ては打ち合わせの時間を節約するための技術であり、心配りです。

社会人からの印象は、とても良くなります。


2つ目は物事の見方を知るための質問ですね。同じ質問を別の人にすることで、その人の見方を知ることができます。例えばマルチメディアの進め方、書籍化にかかかる時間の見積もり、書籍を売れるものにするための改善点、契約書の有無、印税率、初版部数等、そうした共通の質問事項を準備し記録しておくことで、出版社ごとのスタンスを比較しやすくなります。


3つ目は個人を知るための質問です。1人めの編集の買ったとの話を終えて、自分は「書籍化というのは、販売にあたっては出版社の力が極めて大きい商売だけれども、書籍を作り出すところまでは編集者の方の個人の力量の影響が非常に大きいのではないか」と思うようになっていました。

ですから、1人目の編集の方とは余裕がなくて、あまりできなかった編集者個人について、もっと知ろうと思ったのです。


そうして質問事項を列挙してみると、事前に先方に送れない事項ばかりであることに気が付きました。

文字に起こしてみると、かなりセンシティブな内容ばかりです。


編集者の方が「まずは会って話しましょう」というのも遅まきながら理解できた気がしたものです。

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