第38話 2社目の訪問
そうして準備をしているうちに、2社目の出版社へ訪問する日になりました。
事前リサーチとして、出版社の場所、担当者の名前、出版されている主要な、なろう小説、他の一般小説についてもググって確認済です。
なろう小説以外の本について出版されていると、個人的には少し安心しますね。
なろうブームに合わせて慌てて立ち上げた編集部門でなく、生え抜きの編集者がいらっしゃるのでは、と感じるからです。
一方でなろう出版に特化してマルチメディア展開を見越したプロデューサーを抱えた部門がある出版社というのもあるらしい、とも聞きます。
どちらの出版社の方針が正しいということはなく、自分の出版戦略にどちらの方針が合致しているのか、という見方をするべきだと思います。
前回の失敗に学んで、打ち合わせの場所は先方の出版社の会議室ということにさせていただきました。
これで「エルフ耳」や「ハーレム」を連呼されても大丈夫です。
当日にスーツを着て訪問してみると、大きな出版社というのは大したもので、きちんとした企業になっていますから受付があります。
営業に来ている他者の方も大勢いらっしゃいまして、つくづくスーツで来て良かったと思いました。
良かったことは、もう1点あります。
繰り返しになりますが、ペンネームについてです。
受付では「◯◯社から参りました◯◯と申します。◯◯の件で担当の◯◯様と◯◯時からお約束させていただいております」と名乗る必要があります。
電話口の向こうには要件を知らない相手がいて、周囲にはスーツのサラリーマンがいる環境で、です。
自分のケースでは「原作のダイスケと申します。Web小説の書籍化の件で、担当の◯◯様をお願いします」と名乗ったわけですが、問い合わせつつも受付の方に「すみません、もう一度お願いします」と問い返された挙句、衆人環視の中で「インターネットで、小説家になろうというWeb小説家を目指す素人のためのサイトがありまして・・・」とイチから説明する羽目にならないか恐々としておりました。
仮にそんな目に遭ったとしたら、例え電話先の方の納得が得られたとしても、他の企業の営業の方が大勢いる待合室での待機時間が拷問のように感じられることになったでしょう。
幸いにしてそうした事態には陥らず、すぐに自分が呼び出される番になりました。
Web小説の書籍化、と普通の人にもわかりやすい単語を並べたのが良かったのでしょう。
特にそれ以上質問されることなく、編集の方と連絡をつけることができ、会議室に案内されました。
そうして会うことになった2人目の編集の方は、1人目とはまた違った印象を与える人でした。
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