第20話 「ラノベ作家としてやっていく自信はないのです」

「元々、自分はビジネス書の練習として小説を書き始めたのです」


編集の方に訴えた言葉は大げさではありません。


なろうで最初に投稿した作品は「日本の高校生が1万円を稼ごうと思ったら」という、自分でお金を稼ごうと思い立った高校生が直面する様々な出来事を乗り越える様子を、ビジネス的な解釈で解説していく、というお話でした。(今でも掲載しておりますので、関心を持たれた方はご覧ください)


ところが、これが全く人気が出ませんでした。自分ではわりとバランス良く書けた内容だと思っていたので、これは少しなろうを研究しないといかんな、と思って本腰を入れたものです。


次に「勇者ものが人気あるのかな?」とゲームブック形式の勇者と商人の交渉ものを書き、それでも人気が出なかったので、今思えば無謀なことですが累計1位の無職転生を参考に「1人称を多用し」「舞台を異世界に」した、冒険者の支援モノを書き始めました。

それが「異世界コンサル株式会社(旧:冒険者パーティーの経営を支援します!)」です。


少し話題が逸れました。

とにかく、書き始めた動機が動機だったので、できればビジネス書として作品に日の目を見せたかったのです。


「自分はラノベ作家としてやっていく自信はありません」と、編集の方には、率直に自分の考えを打ち明けました。


ラノベというのは当たりハズレの激しい業界という意識は変わりませんでしたし、私には本業もあります。

ラノベの原稿料が幾らになるかは知りませんでしたが、年間に何冊も、時には何十冊も書き続けて出版し続ける、という競争をしていく自信も、作家として生きる覚悟もなかったのです。


「ポイントが取れたことも、半分は運だと思っています。ですから、1冊、せいぜい3冊を出すのが精一杯だと思っています」


書籍化の打診に驚いたぐらいでしたから、本当にそう思っていたのです。

ですから、せいぜい我儘を言ってみよう、とも腹をくくってもいました。


編集の方はこちらの言い分を聞いて少しの間、黙って腕組みをしてから


「そうなると、売り出し方が全く違ってきますね」


と言ってくれたのです。

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