第4話 たった1人の編集部
それでは前回からの続きです。
いろいろと予定を調整し、1社目の編集者の方とお会いすることになりました。
編集部の位置もググっておいたので完璧です。
その頃になると少しは猜疑心が薄くなってきてはいましたが、1時間ほど早く来て編集部の実在を予め確かめておく、ということもしました。
こっそりと入った雑居ビルのフロア案内板に「◯◯編集部」という文字を見つけた時は「詐欺ではなかった」と、ホッと胸を撫で下ろしたものです。
出版業というのは一般に、世間への影響力の割に少人数でまわしているもので、物凄い部数を発行している雑誌であっても、編集部はたった数人の体制、などということがあったりします。
このあたりの情報については、上場企業の出版社の従業員数をホームページなどから閲覧することで間接的に確認することができるでしょう。
私も上記の程度の予備知識はあったので(逆に言えば、その程度の知識しかなかったので)ライトノベルの編集者についてもかなり少ないんだろうな、と予想して先方を訪ねたのですが、その主担当者が1人、というのにはさすがに驚きました。
(もちろん繁忙期には他部門からアシスタントがつくそうなので常時1人というわけではありません)
かなりの数の本数を出しているレーベルでこれなのです。
やはりライトノベルというのは厳しい業界なのだな、という私の偏見はますます強くなりました。
編集部にいると電話がかかってきたり人の出入りがあったりで落ち着かない上に、あまりに手狭だったので、結局、外に出てファミリーレストランで打ち合わせをすることになりました。
私としては事務所があることをは確認できた時点で目的は達成されていたわけで、特に否やはありませんでした。
ですが、後からこの時の選択を少しばかり後悔することになります。
注:深刻な内容ではありません
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