概要
氷河期『厳冬(フィンブルヴェト)』の訪れとともに現れた怪物・フィンブルが、人々を脅かす世界。
怪物の因子を取り込むことで戦う力を手に入れた半人半怪の少年兵『ワイルドハント』たちが、文明の光灯らない暗黒地帯と化した北海道でフィンブルを駆逐する。
●新藤陽彦
15歳。短髪。力もち。耳と鼻がすごくいい。
●灰川深雪
16歳。無表情。黒の長髪。強い。
●宗像聖二
17歳。リーダー。金の瞳
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!血生臭い極寒の地で、若き〈バケモノ〉達が化け物を駆逐する!
序盤から勢いのいい戦闘が始まり、敵も味方も関係なく全員が血祭りになるブラッディな現代バトルアクション。戦いに終わりが見えない極寒のディストピアで、人ならざる少年少女たちが敵を蹂躙する物語。
敵を嬲り、潰し、殺し尽くす“力強く”も“ヴァイオレンス”な戦闘シーンは、疾走感のある文章で描写され、息吐く暇さえ与えません。合間に挟まれる人物の心理描写が、読み手に更なる熱を加えます。
非日常という世界で戦えば、やはり目の当たりにする、自分たちの同じ者達の残酷な末路にも、作者の文章力が加わり悲壮感が増しています。
それでもそうした非日常の中、“ただの人間”として過ごす彼らの日常には、和やかな雰囲気が流れ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!吐く息が凍るような切ない物語
氷河期が訪れ、人類の天敵が出現した未来の話。
神の手によって、食物連鎖のピラミッドのおいて、人類より上に置かれたと思しきフィンブルに対して、人類が切った対抗のカードは、フィンブル因子を植え付けた子供たちで構成されたフィンブル殲滅部隊「ワイルドハント」。
獣性を与えられ、大人たちに反抗しつつも、運命に抗いきれず化け物を追って、雪原を走る幼い獣たちの物語。
ラノベに逃げることなく、かといってSFに踏み込むこともなく、あやうい境界の上を、少年少女たちのドラマで紡いでゆくポジショニングが見事。
また本作の最大の魅力は、全体に流れる雰囲気。
夜の暗さ、冬の寒さ。静かに流れる音楽が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!未来への道標なき北の大地、少年少女はそれでも生き残るために戦い続ける
文明の灯が消え、怪物が跳梁跋扈する極寒の地、北海道。
怪物を狩るのは、同じように異形の力を身に宿した少年少女たちである。
主人公たちもそんな怪物狩りのチーム『ワイルドハント』として、北の大地を征く。
未来への道標もない日々を、生き残るために生きる。
だからこそ、少年少女の何気ないやり取りと日々が切り取られ、
この世界の淵で輝くのを感じさせてくれる。
それは戦いの中のチームワークであったり、日々の何気ないやり取りであったり。
第一話で一つのミッションを終え、次に彼らが向かう先、たどり着くは、はたしてどこか……。 - ★★★ Excellent!!!全ての要素が格好いい、見事なエンターテイメント
滅茶苦茶に面白かったので、多くの人の目に留まってくれると嬉しいです。以下、その理由。
・アクションが格好いい
半人半怪というモチーフ自体に目新しさはありませんが、獣性を秘めているという設定を十二分に活用したアクションシーンは、無駄な動きがないことも相まって、非常にスタイリッシュで格好がいいです。武器の取り回しもお気に入り。チェーンソーは、実に趣味に振り切っていて好みです。
・世界観が重く格好いい
氷河期後の荒廃しつつある日本が舞台ということで、全体的に閉塞感があり、読み味は重たいです。しかし、地の文に過不足がなく軽快なので、もたれることはなく、すいすいと重厚な世界観を楽しめます。
・キ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!寒空の下、狩人に寄る辺はあるか
戦いの日々に先は見えず、帰る所も覚束ない。
廃墟と化した凍てつく大地の情景は、主人公らワイルドハントが置かれた立場に重なって見えます。
人類の盾となって戦う身でありながら、社会においてはむしろ居場所がなく、怪物との殺し合いは命と精神を磨り減らす。
……読者としては、だからこそ彼らから目が離せず、未だ描かれていない未来に想像を巡らせては希望と不安を抱く楽しみが持てるのですが。
主となる登場人物たちの魅力も、その感情をより大きなものにします。
いわゆる「良い子」ではないけれど、どこか放っておけない人間味と危うさを持った若者たち。
彼らが見せる世界への向き合い方は、無意味に意地を張っているようで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人類の明日なき北海道再征服
北海道から人類が撤退した世界。氷河期の厳冬に覆われた大地では、フィンブルと呼ばれる新生物が息づいていた。
北海道を舞台に四人の少年少女が人間サイズのモンスターと戦うというあらすじですが、メインキャラ達のそれはあくまで「労働」というスタンスが現代的です。この辺りはSF的でもあり、文明出身者達が日々の生活の為にファンタジックな地へ冒険に駆り出されるというのが悲哀を誘います。
また主人公が自らの所属する社会に対してささやかな抵抗をしつつも、大意には従わざるを得ない状況は閉塞した心情描写に繋がっています。
作品内で特に注目するのは敵との遭遇シーンで、戦闘の大半が味方の肉体損壊か敵を虐殺する描写で…続きを読む