第31話 さようならを言った日2
フツウサ「クーたん・・・お別れしなくちゃならないの・・・?」
クーたん「・・・聞いてくれるかい、フツウサ。」
フツウサ「・・・うん。」
ふぅっと大きなため息をつくクーたん。
クーたん「星ウサギ種のウサギはね・・・。修業をして立派になったら、自分自身の星をつくるために宇宙に旅立つんだ。」
フツウサ「え!?クーたん、星をつくるの!?」
クーたん「うん。自分の星をつくるんだ。」
フツウサ「すごいね!クーたん。本当に優しい王様になるんだね!」
目をキラキラさせているフツウサ。
クーたん「ふふっ。星をつくることと、王様になるってことはちょっと違うんだけどね。」
フツウサ「そうなのか…でも、でも、すごいねクーたん!」
クーたん「ありがとう。まぁ、初めての経験だし、まだどんな星をつくるか、細かいことは決めてないんだけどね。」
フツウサ「そうなのか・・・。細かいことは決めてないんだね。」
クーたん「うん。ほとんどのことは、宇宙に出てから決めようと思ってね。今決まっているのは二つのことだけなんだ。」
フツウサ「二つのこと?」
クーたん「そう。一つは星の名前。」
フツウサ「星の名前・・・。」
クーたん「ジェニュイン・・・。」
フツウサ「じぇにに。」
クーたん「いや、ジェニュイン。」
フツウサ「じぇにに。」
クーたん「うんとね、純真っていう意味の言葉なんだ。」
フツウサ「じぇににかぁ。かっこいいなぁ。」
クーたん「ありがとう。ジェニュインなんだけどね。」
フツウサ「クーたん、もう一つ決まっていることって?」
クータン「うん。もう一つはね、とにかく水の綺麗な星にしたいんだ。」
フツウサ「水の綺麗な星・・・。」
クーたん「そう。どんな繊細な生き物でも暮らしていけるような、すごく澄んだ水の溢れている星にしたいんだよ。」
フツウサ「すごく澄んだ水の溢れている星・・・。クーたんの毎日の修業はそんな星をつくるための修業だったんだね。」
クーたん「そうだね。自分が何を求め、何をやりたがっているかを思い浮かべ、考えているうちに、そこにいきついたんだ。」
フツウサ「やっと、わかったんだね。」
クーたん「うん。やっとね。だから、自分は宇宙に旅立つよ。」
フツウサ「クーたんならきっとできるよ。」
クーたん「ありがとう、フツウサ。」
フツウサ「・・・フツウサも行く。」
クーたん「・・・。」
フツウサ「フツウサもクーたんと一緒にじぇににをつくる。」
クーたん「フツウサ・・・。星をつくるっていうのはね、星ウサギとしての自分の宿命なんだよ。自分はね、フツウサにはフツウサの宿命っていうのがちゃんとあると思うんだよ。」
フツウサ「クーたん、一緒には行けないの?」
クーたん「・・・うん。ごめんね。」
フツウサ「そっか・・・。」
クーたん「・・・。」
フツウサ「クーたん、どうやって宇宙にいくの?」
クーたん「うん。実はもう自分専用のロケットをつくってあるんだ。星ウサギ秘伝の技術に自分なりの工夫を加えてね。」
フツウサ「そうなんだ。すごいね。そういえば、食料とかも少しずつ備蓄してたもんね。」
クーたん「うん。新しい星でちゃんと食べ物を調達できるかどうかはわからないからね。」
フツウサ「・・・そうだ、ワンダーガチャだ!駄菓子屋だがしうましの魔法のガチャガチャで、フツウサもクーたんと一緒に宇宙に行けるロケットを出せばいいんだ!」
クーたん「・・・ワンダーガチャの魔法のアイテムはね、そのウサギに今、本当に必要な物が出るんだ。今のフツウサがガチャガチャを回して、都合良くロケットが出るかな?」
フツウサ「出ない・・・かな・・・?」
クーたん「たぶん・・・ね。」
フツウサ「そっか・・・。」
クーたん「うん・・・。」
フツウサ「クーたんがそう言うのならそうなんだろうね。」
クーたん「・・・。」
再び、言葉を失う二羽のウサギ・・・。
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