第27話 とても長い一日5

 

 小さくて古いが趣のある駄菓子屋、『だがしうまし』。


 シャーっと走ってきて、キーっと自転車をとめたクーたん。


 ワンダーガチャの前に立ち、両手を合わせる。


クーたん「お願いします、お願いします。フツウサの居場所を教えてください。」


 クーたんは、ワンダーガチャにすがるように話しかけながら、まずは、銀色の涙コインを入れて、ワンダーガチャを回す。


 ガチャ、ガチャ、ガチャ、


 ポンッ!


 出てきたカプセルを急いで開けてみると、モヤモヤッという煙とともに、黒い腹巻がでてきた。


クーたん「は、腹巻・・・。」


 とりあえず、クーたんは、素直にその腹巻を装着してみた。


クーたん「あ、暖かい・・・。」


 腹巻の暖かさになんだかクーたんは、ホッとしてしまった。


クーたん「お願いします。」


 少し落ち着いた声になったクーたんが、再びワンダーガチャの前で両手を合わせて祈る。


 そして、今度は金色の涙コインを入れてワンダーガチャを回す。


 ガチャ、ガチャ、ガチャ、


 ポンッ!


 クーたんが、出てきたカプセルを開けてみると・・・。


 ジャーン!


 なんだか安っぽい不思議な効果音と共に、不思議なハトが飛びだした。


ハト「私の名前は、ワンダーハトのマメ。宇宙のどこにいる相手にも、必ず手紙を届けてみせるよ。」


 ビシッと敬礼を決めている小さな一羽のハト。


クーたん「は、はぁ・・・。ワンダーハトのマメさん・・・。」


マメ「君、お名前は?」


クーたん「あ、あの、クーたんと言います。」


マメ「ほう、クーたんか。素敵な名前だね。私のことはマメちゃんと呼んでくれたまえ。」


クーたん「はぁ、マメちゃんさんですね。」


マメ「マメちゃんでいい!」


クーたん「は・・・はい。マメちゃん・・・。」


マメ「ふむ、よろしい。ところで、君には、手紙を届けたい相手がいるようだね。」


クーたん「手紙・・・?あ、そうだ。自分はフツウサを探しているんです!」


マメ「ふむ。事情があるのはわかるが、今日はもう遅い。家に帰ってゆっくり休んで、明日手紙を書くといい。私が、必ずその手紙をあなたの大事な誰かに届けて見せよう。」


 クーたんがハッとして周りを見渡すと、すっかり空は暗くなってしまっていた。


クーたん「そう・・・ですね。」


マメ「ときにクーたんよ。」


クーたん「はい。」


マメ「私も君の家に一泊させてくれないか。夜は冷えるのでね。」


クーたん「は・・・はぁ。」


 そして、クーたんと、マメはクーたんの家に向かうのであった。

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