第21話 初めてはなびをした日2




 フツウサはタカタカと走ってクローバーの丘に到着した。


フツウサ「たのもー。」


かいぞうさ「おや、フツウサ、こんにちは。」


メロウサ「あら、フツウサちゃんこんにちは。」


フツウサ「お、メロウサさんもいた。」


 フツウサは二羽に今日、はなび大会をやることを伝えた。


かいぞうさ「わかった。仕事が終わったら向かうよ。」


メロウサ「のろうさちゃんにも教えてあげなきゃ。」


フツウサ「のろうささんには、もう伝えたよ。」


メロウサ「そう。じゃ、私もオシャレが終わったら広場へ向かうわね。」


フツウサ「うん、じゃ、よろしくね~。」



 一方クーたんはおにぎり山に向かっていた。


クーたん「誰かいるかな。」


 おにぎり山では、ロップとなきうさが二羽でのんびりしていた。


クーたん「やあ!」


ロップ「あ・・・どうも。」


なきうさ「クーたん、こんにちは。」


クーたん「今日、広場ではなび大会をやるんだ是非きてね。」


ロップ「はなび!((はなび・・・。本で見たことある。火、熱い、こわい、まぶしい、こわい、みんながくる、集団こわい・・・でも行けばきっとみんなと仲良くなれる・・・))ブツブツ。」


なきうさ「クーたん、はなびって何?」


クーたん「きれいな、火でできたお花のことだよ。」


なきうさ「すごい、火でできたお花・・・。見てみたい。ポロポロ。」


 涙を流すなきうさ。


クーたん「それじゃ、広場でまたね。」


 クーたんは手を振って、ロップとなきうさと別れた。



 フツウサは月饅頭屋のワゴン車の前に走ってきた。


フツウサ「こんにちは、月饅頭屋さん。」


月ウサギ一「へい、らっしゃい」


フツウサ「今日、広場ではなび大会をやるんだ。饅頭屋さん達も二羽できなよ。」


月ウサギ一「はなびかぁ・・・。いいっすねぇ。でも今日も販売ノルマがきつくて・・・。」


 もう一羽の饅頭屋さんが涙目で頷いている。


フツウサ「うーん。広場で饅頭売ればいいんじゃないかな?」


月ウサギ一「おぉ、その手があったか。お客さん賢いね。」


フツウサ「うふふふ。賢いんだ、フツウサ。うふふふ。」


月ウサギ一「それじゃ、頃合い見てワゴン車で広場に行きますんで。」


フツウサ「うん、じゃ、よろしくね。」


 フツウサは二羽の月ウサギに手を振ったあと、タカタカと走っていった。



 その頃クーたんはキノコ椅子の森に向かっていた。


 森に向かう途中で、丁度散歩していた、さいこうさにであう。


さいこうさ「いや~、クーたん。今日も最高な日だね。」


クーたん「こんにちは。さいこうさ。今日、広場でみんなではなび大会をやろうと思うんだ。良かったら来てね。」


さいこうさ「はなびかい?それは最高だね。それじゃ、みんなに配るために最高の王冠をたくさん用意しなくちゃ。」


クーたん「それじゃ、広場でね。」


さいこうさ「最高の夜にしようじゃないか。いやーそれにしても僕は最高・・・。」


 さいこうさは、まだ何か喋っていたが、急いでいたクーたんは、また、タカタカと走り出した。



クーたん「ふーっ。」


 やっと、森のキノコ椅子にたどり着き、一息ついているクーたん。


 リュックから取り出したタオルで汗を拭いて、水筒の水をグイッと飲む。


 そのとき、砂煙を巻き上げて信じられない勢いで一羽のウサギが走ってくる。


ウバウサ「あたしのだもの。」


 体当たりはせず、クーたんの前にピタッと止まってウバウサは言った。


クーたん「やあ、ウバウサ。こんにちは。」


ウバウサ「こんにちは。クー。」


クーたん「今日の夜、広場でみんなではなび大会をやるんだ。良かったら来てね。」


ウバウサ「みんな・・・ハナビ・・・。わかった。行くもの。」


クーたん「それじゃ、広場でね。」


 クーたんは、ウバウサに手を振って、森を後にしていった。


ウバウサ「ハナビ・・・。」




 砂煙を巻き上げて、信じられない勢いで走っている一羽のウサギ。


 あっという間に駄菓子屋‟だがしうまし”の前まで来て、ピタッと止まる。


ウバウサ「おーい、駄菓子屋!」


 店のドアをバーンと開けて、ウバウサは店主を呼ぶ。


店主「やあ、お花をつけた小さなウサギさん、おっと今はウバウサちゃんという素敵な名前があるんだったね。久しぶりだね、元気かい?」


 いつものように姿は見せず、声だけで店主は応じる。


ウバウサ「ウーは元気だもの。駄菓子屋、またドアがとれちゃったもの。」


店主「あらら。また直しておくからそこに置いておいてね。今日はまた棒付き飴かい?」


ウバウサ「今日はオレンジ持ってきてないもの。」


店主「そうかい。またお兄ちゃんと楽しくおしゃべりして、オレンジコインが落ちるといいね。」


ウバウサ「ウーは最近、クーやフーとおしゃべりするから、二ーがこなくても、オレンジいっぱい落ちるもの。」


店主「ふふ。そうなんだね。それはよかったね。」


ウバウサ「ウーは、さっきだってクーにハナビに誘われたんだもの。」


店主「そう・・・。よかったねぇ。本当に。」


ウバウサ「だけど、ウーは、ハナビ知らないのに、クーに行くって言っちゃったんだもの。駄菓子屋、ハナビってなに?」


店主「はなびはね、僅かな時間だけ咲く、火でできたお花だよ。とっても綺麗なんだ。」


ウバウサ「火の花か。ウーは綺麗なお花、見たいもの。」


店主「うんうん。よかったね。綺麗なお花、見られるよ。みんなと楽しんでくるといいよ。」


ウバウサ「でもウーは奪うものだから、みんなに迷惑かけないかちょっと心配だもの。」


店主「ふむ。あ、そうだちょっと待って、とっておきのはなびがあるんだ。みんなにはちょっと危ないけど、あなたなら大丈夫だと思う。あなたの得意な身体の力でみんなの注目と時間を奪ってあげるといいよ。」


ウバウサ「?」

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