第7話

「あ〜!!わたしあそこ行きたい!!」

遅い昼食を食べ終えて、さてどうしようかと悩んでいた時、音符が数メートル先にある建物を指差した。

「爬虫類ランド?ヘビとかトカゲいるよ?音符大丈夫なの?」

「わたし大好き!あそこ行きたい〜!」

「じゃあ、行くか」

と、爬虫類ランドに向かって歩き出すと、桃香と忍が慌てた声を出した。

「ちょ!まって!ムリムリ!!うちあそこ行けない!!!」

「わ、私も...!!」

「え〜!!やだやだ行きたいよ〜!!うわぁーん!!!」

「うっさい!!桃香と忍は植物園もっかい回ってくれば?」

「うん...そうするわ...」

「桃香ちゃん...桃香ちゃんの好きな所まわろ...?」

「忍の好きなとこまわろ!うち付き合うよ!」

「あ、ありがと...」

と、言うと桃香と忍は、さっそく植物園に向かった。

あたしらも行くか、と音符の方を向くと、顔を輝かせながらあたしの手を取った。

「はやく行こ〜!!」

「ちょ、落ち着けよ!!」

半ば走るようにして爬虫類ランドに向かう。

中に入ると、なんというか、不思議な匂いがした。

「ふはーーー!!爬虫類ランドって感じの匂い♡」

「なんかきもいよ。意外と好きなんだな爬虫類とか」

「うん!かっこよくて好き!」

相変わらず手を繋いだままだが、音符は気にした様子もなく歩き出す。

子どものようにガラスに顔を近づけながら、おぉー、とか、うぉー、とか変な声を出している。

「おっきいー!!ながーい!!かっこいいー!!」

「音符食われちゃうね」

「その時はがくとも一緒だよ!」

「音符を置いてあたしは逃げる」

「ひどい!!」

他のお客さんに迷惑にならないように、なるべく静かに話しながら爬虫類ランドを回った。

手を握ったままだったので、隣を歩く他の客に、「カップルかな?」とかひそひそ言われたけど。

左手に感じる音符の手は小さくて、柔らかい。

あたしの手とは大違いな女の子の手に、なんとなく変な気持ちを覚えた。

音符から漂う甘い匂いも、子どもみたいな話し方も、全部。


...なんか、変だな。あたし。

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