第3話
翌日、靴箱で上履きを履こうとすると、後ろから背中をぽん、と叩かれた。
「おはよ、音符」
「あ!がくと!おはよ〜!」
「教室一緒にいこうぜ」
「もちろんだよ〜!」
2人で昨日のテレビ番組について、話しながら教室に行くと、席にはももかちゃんとしのびちゃんが座っていた。
「桃香と忍、おはよ」
「おはよ〜!」
「音符ちゃん、楽斗、おはよ!」
「おはよう...」
席に着くと、さっそく動物園の話になった。
「普通に日曜日とかで予定大丈夫?」
「わたしは特に無いよ〜!」
「うちもー!」
「わ、わたしも...!」
「じゃあ、日曜日の9時に駅前でいい?あの動物園の近くの」
「了解です!」
「うちも大丈夫!」
「遅刻しないようにしないとね...」
鞄の中からスケジュール帳を取り出し、日曜日の欄に丸と動物園!9時に駅前!と赤で書きたしておく。
「音符、スケジュール帳書くんだな」
「うん!可愛いから買っちゃったの!使わないと勿体無いかな〜って!」
「音符ちゃんの...とっても、かわいいね」
「照れるな〜!ありがと!」
「音符ちゃんのことじゃ無いのに照れるの?」
「そこは突っ込まないで〜!!!」
.
.
.
今日も簡単な授業の説明のみで早くに学校が終わったので、がくとに
「今日も昨日の店行く?」
と、聞かれたが、今日は書店に寄りたかったので賛成したももかちゃんとしのびちゃんには申し訳ないがわたしは断る事にした。
「音符、書店行くの?じゃあ、あたしも行こうかな」
「え!?がくとも書店に用事あるの?」
「いや、暇だからついてく」
「じゃあ、うちらは昨日の店でお昼食べるわー、じゃーねー!」
「音符ちゃん、楽斗さん、バイバイ」
「じゃあね」
「あ、ばいばーい!」
2人は、「今日は何食べよっかな〜」と話しながら教室を出て行った。
「がくと、わたしたちも行こ!」
「うん、あのさ、書店の用事済んだらそのまま帰んの?」
「え?うーん...どうしようかな...」
「書店の近くに売店並んでるところあんの知ってる?」
「え!?知らない!!売店あるの!?」
「そこのからあげめっちゃ美味いよ」
「行く!行きたい〜!!ねぇ〜行こうよ〜!!!」
「じゃあ、早く用事済ませて行こうぜ」
「よっしゃ!まかせて!」
少し足早に靴箱で靴に履き替え、がくとと並んで歩きながら書店に向かった。
書店に入るとわたしは真ん中にある「今月の新刊コーナー」に向かい、本を選ぶ。
「音符、意外とこういうの読むんだな」
「意外と...???読むよー!がくとは読まないの?」
「寝る」
「寝ちゃうの???」
「音符、これ好きそう」
そして、手渡されたのはピンクの背景に小さな星が散りばめられた「こんぺいとうのように甘く、星のように切なく」というタイトルの本だ。
びっくりするくらい好みだった。
「がくとこわい、わたしこれ買う」
「え、買うの」
「わたしのことよく見てる、こわい、これ買う」
「ロボットみたいできもいから早く買ってきな」
と、背中を押されレジに並ぶ。
それほど人が並んでいたわけではなかったので、すぐに順番が来た。
「お客様、只今春の新刊キャンペーン中でして、こちらの中からお好きなカバーをお選び頂けますが、いかがいたしましょうか?」
「えっと〜、じゃあ...6番ください!」
「かしこまりました。入れさせていただきますね」
「はい!ありがとうございます!」
会計を済まし、がくとの元に行く。
「なんか貰ってたね、カバー?」
「うん!カバーもらったの!これ!」
と、差し出したのは、先ほどもらったカバー。
黒地に星が散りばめられたデザインだ。よく見ると、下の方に黒猫が描かれていた。
「可愛いね。こういうのも好きなの?意外」
「がくとにあげる!」
「え?」
「がくとが好きそうなデザイン!本選んでくれたから!..いらない?」
「いる、ありがと」
ぽんぽんと頭を撫でられた。
「よきかなよきかな」
「なにそれ」
書店を出た後、がくとの言っていたからあげを食べ(とってもデリシャスだった!!)、お互い帰路に着いた。
その夜、がくとからLINEが届いた。
楽斗:起きてる?今日はカバーありがと
おんぷ♪:こちらこそ!からあげ美味しかった〜(๑•ω•๑)/"♡
楽斗:ねえ、なんか本貸してよ
おんぷ♪:え?寝ちゃうんじゃないの?
楽斗:貰ったカバー折角だから使いたいの
おんぷ♪:貸す貸す!!おすすめ持って行くよ〜!⭐︎
楽斗:うん。じゃ、おやすみ
おんぷ♪:おやすみ〜⭐︎
LINEを閉じて、本棚に向かう。
分厚い本は絶対にダメだし、そこまで厚くなくて読みやすい本.....
と、目が止まったのは本棚の隅に入れてある150ページほどの本。
わたしのお気に入りの本だ。
「がくと、これ、好きになってくれたら嬉しいな...」
わたしは本の表紙を1撫ですると鞄の中にしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます